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11項目
運動会の作文を書くとき、原こう用紙の最初の一行で手が止まってしまうことはありませんか。入場行進、つな引き、おどり、リレー、お弁当の時間と、書きたい場面がいくつも頭にうかんで、どれから書けばよいか分からなくなってしまいます。「今日、運動会がありました」とまず書いてはみたものの、そのあとがなかなか続かない。出来事を全部書こうとすると、文章はかえってまとまらなくなることが多いのです。
運動会の作文がうまく書けるかどうかは、書き始めるまえに「何を書くか」を決められるかで大きくかわります。書きたい場面を一つにしぼり、その場面をくわしく書くと、読んだ人の心に残る作文になります。この記事では、書く前に決めておくこと、書き出しの工夫、一つの場面のえらび方、気持ちを言葉で表すコツ、終わり方の作り方を、五年生・六年生の作文づくりに合わせて順番に整理していきます。
結論:心が動いた場面を一つにしぼり、前・中・後に分けてくわしく書く
- 書く前に「いちばん心がうごいた場面」「そのときの気持ち」「いちばん伝えたいこと」の三つを決めておきます。
- 書き出しは「今日、運動会がありました」ではなく、音・気持ち・会話・色や物などから始めます。
- 気持ちは「うれしかったです」だけで終わらせず、その気持ちが体に出ていたようすで書きます。
- 終わりには「楽しい運動会でした」だけでなく、その出来事を通して自分が気づいたことやこれからどうしたいかを書きます。
何を書くか先に決める
作文がうまく書けないとき、多くの場合は「書く前に決めていないこと」が原因です。書きながら考えると、頭の中の出来事がじゅん番に出てこなくて、文がまとまりません。書く前に三つのことを決めておくと、原こう用紙に向かったときに迷いにくくなります。一つ目は「いちばん心がうごいた場面」、二つ目は「そのときの自分の気持ち」、三つ目は「読んだ人にいちばん伝えたいこと」です。
たとえば、いちばん心がうごいた場面が「リレーのアンカーで走り出す前の数びょう」、そのときの気持ちが「足がふるえるほどきんちょうしたけれど、みんなが声えんしてくれてうれしかった」、伝えたいことが「自分一人ではなく、クラスのみんなの力で走り切れた」だとします。この三つをメモしてから書き始めると、書く順番がしぜんに見えてきます。
書く前に決めること | リレーの作例 |
|---|---|
いちばん心がうごいた場面 | リレーのアンカーで走り出す前の数びょう |
そのときの気持ち | 足がふるえるほどきんちょうしたけれど、声えんがうれしかった |
いちばん伝えたいこと | みんなの力で走り切れたということ |
書き出しで読み手を引きこむ
作文の書き出しは、読む人がいちばん最初に目にする場所です。ここがおもしろければ、その先も読みたくなります。よくある書き出しは「今日、運動会がありました」ですが、これだとどんな運動会だったのかが伝わりません。書き出しを工夫するには、いくつかのやり方があります。
- 音から始める:「ピストルの音がひびきました。」のように、その場の音から書く
- 気持ちから始める:「足ががくがくふるえていました。」のように、心の中の様子から書く
- 会話文から始める:「『がんばれ、もう少しだ。』」のように、だれかのセリフから書く
- 色や物から始める:「赤い鉢まきがゆれていました。」のように、目に見えたものから書く
たとえば「ピストルの音がひびきました。わたしはバトンをにぎりしめ、ぐっと前を向きました。」という書き出しなら、最初の二行で運動会の場面が読む人に伝わります。書き出しが決まると、その後の文もリズムよく書けるようになります。
出来事を一つの場面にしぼる
運動会の作文で多い失敗が、一日の出来事を全部書こうとすることです。「朝、家を出ました。学校に着いて、入場行進をしました。つな引きをしました。お弁当を食べました。」と、出来事をならべるだけだと、感想文ではなく日記になってしまいます。読み手の心に残るのは、一つの場面をくわしく書いた作文のほうです。
一つの場面をえらぶときは、「目を閉じても、その場面がはっきり思い出せるか」を考えてみましょう。思い出せる場面ほど、くわしく書けるからです。リレーの場面なら、まわりの友だちの顔、先生の声、自分の心ぞうの音まで思い出せるかもしれません。お弁当の場面も楽しかったとしても、よりはっきり思い出せるほうをえらびます。
場面をしぼったら、その場面を三つの時間に分けて書いてみます。「走り出す前」「走っているとき」「走り終わった後」のように、時間で区切ると、書きやすくなります。
時間の区切り | 書く内容 |
|---|---|
走り出す前 | 心の中の気持ち、まわりの声、見えていたもの |
走っているとき | 体のかんかく、聞こえた音、考えていたこと |
走り終わった後 | 気持ちのへんか、友だちの反のう、自分の気づき |
気持ちを言葉で表す工夫
「うれしかったです」「楽しかったです」「がんばりました」だけで終わる作文は、せっかくの思い出が読み手に伝わりません。気持ちを言葉で表すには、その気持ちが「体のどこに、どんなふうに出ていたか」を思い出すとよいでしょう。きんちょうしていたなら、手のひらの様子、足のふるえ、口の中のかんそうした感じなど、体の中で起きていたことを書くと、読み手にも気持ちが伝わります。
- うれしいを体で書く:「ほおが熱くなって、足がかってにはずんでいました。」
- きんちょうを体で書く:「のどがかわいて、手のひらにあせがにじみました。」
- くやしいを体で書く:「ぐっと歯をくいしばって、こぶしをにぎりしめました。」
- ほっとしたを体で書く:「肩の力がぬけて、深いいきがしぜんと出ました。」
走り出す前の気持ちを「のどがかわいて、心ぞうが耳のすぐそばで鳴っているようでした」と書いてみます。これだけで、読んだ人は「ああ、きんちょうしていたんだな」とすぐに分かります。気持ちを直せつ書くより、体や音や色で書くほうが、ずっと伝わる作文になります。
終わりに気づいたことを書く
作文の終わり方も、書き出しと同じくらい大切です。「楽しい運動会でした」だけで終わると、感そうがぼやけてしまいます。終わりの段落では、その出来事を通して「自分が気づいたこと」や「これからどうしたいか」を書くと、作文がぐっと深くなります。気づきは大きなことでなくてかまいません。小さな発見でじゅうぶんです。
終わりの二行は、たとえば「アンカーで走るのはこわかったけれど、みんなが声えんしてくれたから走れました。一人で勝つよりも、みんなで一つになるほうが、ずっとうれしいことを知りました。」のように書きます。短い文ですが、運動会で自分が何を学んだのかがはっきり伝わります。
- 気づきを書く:「〜だと知りました」「〜ということが分かりました」
- これからを書く:「これからは〜したいです」「次は〜してみようと思います」
- みんなへの言葉を書く:「みんなにありがとうと伝えたいです」
- 自分への言葉を書く:「あのときの自分に、よくがんばったねと言いたいです」
運動会の作文で場面を描く書き出し・本文・結びの例
書き出しの一行が決まらないときは、ほかの人がどう書き始めたかを見てみるのが近道です。下に、書き出し・場面のえがき方・結びの一文の三つに分けて例を並べました。どれもその人が見たこと・感じたことをもとにした文なので、そのまま写すと自分の運動会とはちがう作文になります。「自分はどの音を聞いたか」「どの場面で心が動いたか」を思い出しながら、同じ形で自分の言葉に置きかえてみてください。
書き出しの一文の例
書き出しの入り口 | 例文 |
|---|---|
音から書き出す | 「ピストルの音が、青い空にひびきました。」 |
気持ちから書き出す | 「足ががくがくふるえて、心ぞうの音が耳のすぐそばで鳴っていました。」 |
会話から書き出す | 「『がんばれ。』お父さんの声が、おうえん席から聞こえました。」 |
色や物から書き出す | 「赤い鉢まきが、風にゆれていました。」 |
時間から書き出す | 「あと三分で、わたしのリレーが始まります。」 |
場面をえがく一文の例
- 「バトンを受けとったしゅんかん、つめたいかんしょくが手のひらに広がりました。」
- 「友だちの「いけー。」という声が、地面のしんどうといっしょに体にひびきました。」
- 「ゴールテープが目の前にせまってきて、足のいたみがすっととんでいきました。」
- 「白い線をふみしめるたびに、土のにおいがふっと立ちのぼりました。」
結びの一文の例
- 「来年もまた、みんなとこの場所で走りたいです。」
- 「あのときの自分に、よくがんばったねと言いたいです。」
- 「一人ではなく、みんなで走った運動会だったと、心の中で思いました。」
- 「おうえんの声がなければ、ゴールにはたどりつけなかったと思います。」
- 「短い時間でしたが、長く心に残る一日になりました。」
やってみよう(三つのステップで下書きを作る)
運動会の作文を書くときは、いきなり原こう用紙に向かわず、まず下書きノートで三つのステップをふんでみましょう。先に書く中身が決まるので、書き出しで長く悩むことがへります。
- ステップ1:その日の出来事を、思いついた順に十こくらい書き出す
- ステップ2:その中から「目を閉じてもはっきり思い出せる場面」を一つだけ丸でかこむ
- ステップ3:その場面を「前・中・後」に分けて、それぞれ三行ずつ書いてみる
この三つを終えたら、作文の中心になる場面はもうできています。あとは下書きをつなげて、書き出しを工夫し、気持ちを体で表し、終わりに気づきを書きそえれば、思い出が伝わる作文になります。原こう用紙の使い方に自信がないときは、ますの使い方と句読点の打ち方を先に確認しておくと、書き直しの回数が減ります。
