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8項目
「目を丸くする」という言葉があります。国語じてんで調べると、とてもおどろいて目を大きく見ひらくことだと分かります。でも、目はもともと丸いのに、どうしてまた丸くするのかな、と首をかしげたくなるかもしれません。
じっさいにびっくりした顔をしてみると、目玉がふだんよりまるく見開かれて、たしかに「丸く」なります。言葉だけを聞いて意味がわからなくても、体でやってみると、なるほどとうなずける言い方なのです。
こうやって、二つ以上の言葉が組み合わさって、もとの意味とは少しちがう意味を表すようになった言い方を「慣用句(かんようく)」と言います。慣用句は、ふだんの会話やお話の中によく出てきます。意味を知っていれば、本を読むときも会話を聞くときも楽しくなり、自分でも使えるようになります。
結論:体・動物・食べ物のグループで整理し、自分の生活で使ってみる
- 慣用句は二つ以上の言葉が組み合わさり、もとの意味とは少しちがう意味を表す決まった形の言い方です。
- 体の慣用句は体でやってみる、動物の慣用句はそのすがたを思いうかべると、意味がつかみやすくなります。
- その日のできごとに合う慣用句をさがし、日記や作文で実さいに使ってみるのが、いちばんの覚え方です。
- 慣用句はまちがった形で使うと意味が通じないので、国語じてんで意味と形をたしかめてから使います。
慣用句ってどんな言葉
慣用句とは、二つ以上の言葉がくっついて、一つのまとまった意味を表すようになった言い方のことです。たとえば「手」と「貸す」という言葉は、それぞれにべつの意味を持っています。
でも「手を貸す」と一つにまとまると、「人を手つだう」という意味になります。手を本当にかしてあげるわけではないのが、慣用句のおもしろいところです。
慣用句のもう一つのとくちょうは、形がほぼきまっていることです。「手を貸す」を「うでを貸す」と言いかえると、意味がちがってしまいます。慣用句は、長い間多くの人につかわれているうちに、決まった形に落ちついた言い方なのです。だから、形のままおぼえることがたいせつになります。
慣用句をおぼえると、自分の気持ちやようすをみじかい言葉でつたえられるようになります。「びっくりした」と書くかわりに「目を丸くした」と書くと、その人の顔まで思いうかびます。慣用句は、文章を生き生きとさせるかざりのような言葉だと思ってもよいでしょう。
体の部分が出てくる慣用句
慣用句には、体の部分が出てくるものがたくさんあります。目・耳・手・足・口・頭などの言葉が、もとの体の意味からはなれて、いろいろな気持ちやようすを表します。体は自分のいちばん身近なものなので、おぼえやすいのがとくちょうです。
慣用句 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
目を丸くする | とてもおどろいて目を大きく見ひらく | 思ってもみないことが起きたとき |
耳を貸す | 人の話をよく聞いてあげる | 友だちのなやみを聞くとき |
手を貸す | 人を手つだう | こまっている人を助けるとき |
足が棒になる | 長く歩いてつかれる | たくさん歩いたあと |
口が軽い | すぐに人に話してしまう | ひみつを話してしまう人 |
頭をひねる | いっしょうけんめい考える | むずかしい問題にとり組むとき |
鼻が高い | とくいになっている | ほめられてうれしいとき |
この表を見ながら、それぞれの慣用句を体でやってみてください。「目を丸くする」では目を見ひらき、「足が棒になる」ではあしを前に出してまっすぐにしてみます。
じっさいに体を動かしてみると、なぜそういう言い方になったのかがつかみやすくなります。体の部分を使った慣用句は、動きとむすびつけて覚えると思い出しやすくなります。
体の慣用句をおぼえるときには、グループでまとめると楽になります。「目」のなかまには目を丸くする、目をかがやかす、目をうたがう、「手」のなかまには手を貸す、手をやく、手をぬくなど、たくさんあります。一つの体の部分から二つ三つの慣用句を引き出せるようにすると、頭の中にちゃんと整理されていきます。
動物が出てくる慣用句
次に紹介するのは、動物が出てくる慣用句です。ねこ・犬・馬・うしなど、むかしから人のそばにいた動物の名前が、たとえとして使われています。動物のすがたやせいかくが、慣用句の意味につながっていることが多いので、絵といっしょにおぼえると楽しいです。
- ねこの手も借りたい:とてもいそがしくて、だれかの手つだいがほしいときに使います
- 犬猿の仲:とても仲が悪いときに使います。犬とサルは仲がよくないものだと昔から考えられていたことから生まれたと言われています
- 馬が合う:気がよく合う、いっしょにいて楽しい相手のことを言います
- うしの歩み:物事の進み方がおそいときに使います
- すずめの涙:ほんの少しの量しかないことを表します
動物の慣用句のおもしろいところは、その動物のイメージがそのまま意味につながっているところです。ねこの手はとても小さくて、本当はあまり役に立たないのですが、それでもほしいくらいいそがしい、というのが「ねこの手も借りたい」の気持ちです。
「うしの歩み」は、うしがゆっくり歩くようすから、物事がのんびり進むようすをたとえています。動物のすがたを思いうかべると、意味がすっと入ってきます。
「ねこの手も借りたい」は、ねこの手でも借りたいほど人手がほしい、といういそがしさを表します。ねこが実さいに手伝ってくれるわけではありませんが、そのくらい人手がたりない気持ちをつたえる言い方です。動物が出てくる慣用句は、その動物のようすを思いうかべると意味がつかみやすくなります。
食べ物が出てくる慣用句
食べ物や台所の道具が出てくる慣用句もあります。毎日のごはんで目にするものなので、こちらも身近でおぼえやすいグループです。
慣用句 | 意味 | よく説明される由来 |
|---|---|---|
油を売る | なまけて時間をつぶす | むかし油売りが長話をしていたことから |
うどの大木 | 体は大きいが役に立たないこと | うどというしょくぶつが大きいわりにつかいみちがすくないことから |
さじを投げる | うまくいかないとあきらめる | 医者がさじをほうり出すしぐさから |
まな板にのる | 人にひひょうされるじょうたいになる | まな板の上で切られるさかなのようすから |
たとえば「油を売る」は、むかし町で油を売り歩いた商人が、長いあいだお客と話をしていたことから生まれたと言われています。たいせつな仕事のとちゅうで、ほかのことに時間をつかってしまうことを表します。
「さじを投げる」は、むかし医者が薬をはかるのに使っていたさじを、これ以上やってもむりだとあきらめてほうり出したようすから生まれたと言われています。
こうした由来の話を知ると、ただおぼえるのではなく、絵本のように頭の中にイメージがのこりやすくなります。慣用句は、むかしの人の生活の中から生まれた言葉なので、由来を一つでも聞くと、ぐっと身近になります。家族に、むかしの生活のようすや知っている慣用句を聞いてみるのもおすすめです。
自分の生活に当てはめて使ってみる
慣用句は、知っているだけではなかなか自分のものになりません。じっさいに、自分の生活の中で使ってみることが、いちばんの覚え方です。次のような練習をしてみてください。
- その日にあったことを一つ思い出す(例:体育のあと、ろう下を歩いてつかれた)
- そのできごとに合う慣用句をさがす(例:足が棒になる)
- できごとを慣用句で書きかえてみる(例:「体育のあと、足が棒になった」)
- 声に出して読み、しぜんかをたしかめる
- もし家族や友だちに通じるようなら、つかってみる
使ってみると、その慣用句がどんな場面に合うのかを自分でたしかめられます。日記や作文で一つでも使えたら、シールでもはるようにかぞえていくと、楽しくつづけられます。
慣用句のノートを作って、おぼえた言葉をふやしていくのもよい方法です。意味のにた慣用句を集めたり、反対の意味になる慣用句をならべたりすると、頭の中で整理されていきます。
もう一つだいじなのは、意味をきちんと調べてから使うことです。慣用句は形がきまっているので、まちがった形でつかうと、相手に意味がつたわらないことがあります。
「目を丸くする」を「目を四角くする」と言ってしまったら、意味が通じません。国語じてんやことわざじてんで意味と形をたしかめてから使うようにしましょう。じてんの使い方は国語じてんの引き方 に書いてあります。
意味と例文で覚える身近な慣用句
作文や日記でぱっと取り出せるように、身近な慣用句を体・動物・食べ物の三つのグループに分けて、意味と例文をならべます。意味は、国語じてんで調べられる基本の意味にしぼっています。例文はそのまま自分の生活に合わせて書きかえることもできます。
慣用句 | 意味 | 例文 |
|---|---|---|
目を丸くする | とてもおどろいて目を大きく見ひらく | 弟がテストで百点をとり、家族はみんな目を丸くした |
耳を貸す | 人の話をよく聞く | 友だちのなやみに、しずかに耳を貸してあげた |
手を貸す | 人を手つだう | 荷物の多いおばあさんに、こえをかけて手を貸した |
足が棒になる | 長く歩いてつかれる | 遠足で一日中歩いて、足が棒になった |
頭をひねる | いっしょうけんめい考える | むずかしい算数の問題に、頭をひねってとりくんだ |
鼻が高い | 人にじまんできるくらいうれしい | 兄が大会で優勝して、家族は鼻が高かった |
ねこの手も借りたい | とてもいそがしい | 大そうじの日は、ねこの手も借りたいほどいそがしい |
犬猿の仲 | とても仲が悪い | むかしのライバル校は犬猿の仲だったと聞いた |
馬が合う | 気がよく合う | 転校してきた友だちと、すぐに馬が合った |
すずめの涙 | ほんの少しの量 | おこづかいはすずめの涙だが、毎月たいせつに使う |
油を売る | なまけて時間をつぶす | 使いに出たのに、店先で油を売っていた |
さじを投げる | むりだとあきらめる | むずかしい問題に、つい、さじを投げそうになった |
使うときに気をつけたいのは、慣用句の形をくずさないことです。たとえば「目を丸くする」を「目を四角くする」と書きかえると、意味が通じません。例文の動詞や場面のところだけを書きかえて、自分の生活に合うものにしていくのが安心です。一日に一つずつ、日記の中で実さいに使ってみましょう。
慣用句のよくある疑問
慣用句とことわざはどうちがうの。
慣用句はみじかい言い方で気持ちやようすをあらわします。ことわざは、生活の知えやおしえを一つの文でつたえます。形と長さがちがいます。
慣用句は何こぐらいおぼえればよいの。
数をきめるより、身近なものから順におぼえるのがおすすめです。まずは体の部分が出てくるものから始めてみましょう。
同じ意味の慣用句がたくさんある。
はい、たとえば「おどろく」を表す慣用句には「目を丸くする」「目をうたがう」など、いくつかあります。場面に合うものをえらびましょう。
慣用句の意味がわからないとき、どうすれば。
国語じてんやことわざ・慣用句のじてんを引きます。家族に聞いてみるのもよい方法です。
