目次
10項目
「山」という字を、ぎざぎざの山の絵とならべてみると、形がよくにていることに気づきます。「川」も、なみのように流れる線とならべると、にて見えます。
漢字の中には、目の前にある物の形を絵にして書き表したものから生まれた字があります。ぎざぎざの山の絵が「山」に、流れる線が「川」になった、と説明されることが多いです。
漢字には、それぞれ生まれかたがあります。絵から生まれたもの、印で表したもの、二つの字をくみあわせたもの、音と意味をくみあわせたもの。この四つを「漢字の成り立ち」と呼びます。
結論:成り立ちは象形・指事・会意・形声の四つに分けて見る
- 象形は山・日のように物の形を絵にした字です。形が絵に見える字は、もとの絵を思いうかべます。
- 指事は一・上のように印で考えや位置を表した字、会意は林・森のように二つ以上の漢字を組み合わせた字です。
- 一番多い形声は、晴=日(意味)+青(音)のように、意味を表す部分と音を表す部分に分けて見ます。
- 新しくならった字は「どの成り立ちかな」と予想し、漢字辞典でたしかめて当たりはずれをしるしておきます。
漢字には四つの成り立ちがある
小学校でならう漢字の成り立ちには、大きく四つの種類があります。「象形(しょうけい)」「指事(しじ)」「会意(かいい)」「形声(けいせい)」の四つです。むずかしい名前にきこえますが、一つひとつ見ていくと、どれも身近な漢字でできあがり方を確かめられます。
種類 | 生まれかた | 例 |
|---|---|---|
象形(しょうけい) | 物の形を絵にした字 | 山・川・木・日・月 |
指事(しじ) | 印で考えを表した字 | 一・二・三・上・下 |
会意(かいい) | 意味を組み合わせた字 | 林・森・明 |
形声(けいせい) | 音と意味を組み合わせた字 | 晴・銅・草 |
絵から生まれた象形文字の例
象形文字は、物の形をそのまま絵にして、それを字にしたものです。むかしの中国の人が、目の前にある物をかんたんな線で書きうつしていったのがはじまりだといわれています。山がもり上がっているようすをぎざぎざで表したのが「山」、空にうかぶおひさまを丸であらわしたのが「日」だと説明されます。
- 山:みっつのぎざぎざで山のれんぽうを表した
- 川:三本のなみのような線で水の流れを表した
- 木:まんなかにみき、上に枝、下に根の形
- 日:太陽の丸い形
- 月:三日月のような形
- 魚:頭・体・しっぽが見える形
これらの字は、もとの絵を思いうかべながら書くと、形がおぼえやすくなります。「山」を書くときにぎざぎざの山の絵を頭にうかべると、形のまちがいに気づきやすくなります。一字ずつの成り立ちの説明は辞典によってちがうこともあるので、気になった字は漢字辞典でたしかめましょう。
印で表す指事文字の例
指事文字は、目に見えない考えや位置を、印で表した字です。物の形ではなくて、「ここのこと」「あれのこと」と、考えを記号で表すという作り方です。
「一」「二」「三」は、横線の数で数を表しています。「上」と「下」は、もとになる一本の横線をきじゅん(もとになるもの)にして、その上に印をおけば「上」、下に印をおけば「下」というふうに、上のほう・下のほうという考えを表しました。
漢字 | 何を表すか | 印の使い方 |
|---|---|---|
一 | 一つ | 横線一本 |
二 | 二つ | 横線二本 |
三 | 三つ | 横線三本 |
上 | 上のほう | きじゅん線の上に印 |
下 | 下のほう | きじゅん線の下に印 |
本 | 木のねもと | 「木」のねもとに横線 |
意味を組み合わせる会意文字の例
会意文字は、二つ以上の漢字を組み合わせて、新しい意味の字をつくったものです。一つひとつの字の意味をたしざんすると、新しい字の意味が見えてきます。ただし、組み合わせの意味の説明は、辞典によってちがう字もあります。
「木」と「木」を二つならべると「林」になります。木がならんでいる場所、つまり林のことです。「木」を三つあつめると「森」になります。木がたくさんあつまった場所のことです。
「日」と「月」をならべると「明」になり、明るいという意味になります。太陽と月が両方そろえば明るい、という考え方で説明されることが多い字です。
- 林:木+木(木がならんでいる場所)
- 森:木+木+木(木がたくさんある場所)
- 明:日+月(明るい)
- 休:人+木(人が木のそばでやすむ)
- 男:田+力(田畑で力をつかってはたらく人)
- 鳴:口+鳥(鳥が口で鳴く)
音と意味で作る形声文字の例
形声文字は、漢字の中で一番多い作り方です。漢字を「意味を表す部分」と「音を表す部分」の二つに分けてつくっています。意味を表す部分は、その漢字がどんな仲間なのかを教えてくれます。音を表す部分は、その漢字をどう読むかを教えてくれます。
たとえば「晴」という字を見てみましょう。左がわの「日」は「太陽」、つまり天気のなかまだということを表します。右がわの「青」は「セイ」という音を教えてくれます。だから「晴」は、天気のなかまで「セイ」と読む字、というしくみです。
漢字 | 意味の部分 | 音の部分 | 読み方 |
|---|---|---|---|
晴 | 日(太陽) | 青(セイ) | セイ/はれる |
銅 | 金(金ぞく) | 同(ドウ) | ドウ |
草 | くさかんむり(草) | 早(ソウ) | ソウ/くさ |
理 | 王(玉) | 里(リ) | リ |
持 | てへん(手) | 寺(ジ) | ジ/もつ |
形声文字が一番多いということは、漢字の多くは「意味の部分」と「音の部分」に分けて見ると、おぼえやすくなるということです。
成り立ちを知るとおぼえやすくなる
漢字を見るときに「これはどの成り立ちかな」と考えてみてください。「山」を見たら絵から生まれた字、「林」を見たら木が二つ、「晴」を見たら日と青の組み合わせ、というふうに見ていきます。一字ずつ意味と形をつなげていくと、ただ書いて覚えるときよりも記おくに残りやすくなります。
- 象形(形が絵に見える字)はもとの絵を思いうかべる
- 指事(印の字)は何を表したかったかを考える
- 会意(組み合わせの字)はパーツごとの意味をたしざんする
- 形声(音と意味の字)は意味の部分と音の部分に分けて見る
成り立ち別に見比べる漢字の例
四つの成り立ちを、代表的な漢字と、よく説明される生まれかたで一覧にまとめました。ノートに書きうつして、新しくならった漢字をどの仲間に入れるか考えるときの見本にしましょう。同じ字でも、もとの絵や組み合わせを思いうかべると、ぐっと身近に感じられます。
種類 | 漢字 | 成り立ちの説明 |
|---|---|---|
象形 | 山 | もり上がった山のれんぽうをぎざぎざで表した |
象形 | 日 | 空にうかぶ太陽の丸い形からできた |
象形 | 魚 | 頭・体・しっぽが見える魚の形からできた |
指事 | 一 | 横線一本で「ひとつ」を表した |
指事 | 上 | きじゅん線の上に印をおいて「上のほう」を表した |
指事 | 本 | 木のねもとに線を引いて「もと」の意味を表した |
会意 | 林 | 木と木で「木がならんでいる場所」を表した |
会意 | 明 | 日と月をならべて「明るい」を表した |
会意 | 休 | 人と木で「人が木のそばでやすむ」を表した |
形声 | 晴 | 日(意味=太陽)+青(音=セイ) |
形声 | 銅 | 金(意味=金ぞく)+同(音=ドウ) |
形声 | 草 | くさかんむり(意味=草)+早(音=ソウ) |
やってみよう:成り立ちを予想する
教科書の漢字ページから、自分の好きな漢字を5つえらんでみましょう。それぞれの字について、「これはどの成り立ちかな」と予想します。予想を書いたら、漢字辞典でたしかめます。当たった字、はずれた字をしるしておくと、自分がどの種類を見つけやすいかが分かってきます。
漢字の成り立ちのよくある疑問
四つ以外にも成り立ちはあるの。
大人が使う辞典では六つに分ける場合もありますが、小学校では四つでじゅうぶんです。
「明」のように、組み合わせ方がいくつもある字はどうするの。
教科書や辞典で、どの成り立ちと書かれているかを確かめましょう。
ぜんぶの漢字の成り立ちを覚えなきゃいけない。
ぜんぶは覚えなくて大丈夫です。よく使う字から、少しずつ理解していきましょう。
漢字は、なんとなく書き方を覚えるよりも、生まれかたを知ったほうがずっと身近になります。「ああ、これは絵から生まれたんだ」「これは音と意味のセットなんだ」と考えながら見ると、漢字一字一字に小さな物語があるように感じられるはずです。
