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俳句の作り方と五七五で季語を入れる練習のコツ

小学生のための俳句の作り方を、五・七・五と季語の基本ルールでやさしく整理します。身近な場面から題ざいを見つける方法、言葉の入れかえで一句を磨いていく手順をれいで確かめられます。
目次
俳句を作ろうとして、原こう用紙の前で手が止まってしまうことはありませんか。「五・七・五の十七音で、季語(きご)を一つ入れる」というルールは知っていても、いざ書こうとすると、海も山も花火も思いうかんで、どうやって十七音にまとめればよいか分からなくなってしまいます。たった十七音しかないのに、その短さがかえってむずかしさにつながってしまうのが、俳句作りの最初のかべです。
俳句作りのヒントは、むかしの人が作った句の中にあります。江戸時代の松尾芭蕉(まつおばしょう)の「古池や 蛙(かわず)飛びこむ 水のおと」は、たった十七音で、しずかな池の場面が目の前にうかぶ作品です。短いくぎりの中に景色をぎゅっとつめこむのが俳句のおもしろさです。この記事では、五・七・五の音の数え方、季語のえらび方、小さい「っ」「ゃ」の数え方、身近な題ざいの見つけ方、言葉を入れかえて読み比べる練習までを、小学校五年生・六年生の俳句づくりに合わせて順に解説します。
俳句は五・七・五の十七音
俳句は、日本に古くからあるみじかい詩のひとつです。五つの音、七つの音、五つの音の三つの部分で作られていて、ぜんぶで十七音になります。たった十七音しかないけれど、その中にきせつの感じや、見たもの、心が動いた場面をぎゅっとつめこむのが俳句のおもしろさです。
五・七・五の音は、文字の数ではなく「音の数」で数えます。たとえば「ふるいけや」は、ふ・る・い・け・やで五音です。「かわずとびこむ」は、か・わ・ず・と・び・こ・むで七音。「みずのおと」は、み・ず・の・お・とで五音。あわせて十七音になります。一文字一音で数えると、ほとんどの場合はうまくいきます。
俳句の三つの部分 | 音の数 | 例 |
|---|---|---|
上の句(かみのく) | 五音 | ふるいけや |
中の句(なかのく) | 七音 | かわずとびこむ |
下の句(しものく) | 五音 | みずのおと |
季語は季節を表す言葉
俳句のもう一つの大きなルールは、「季語」を一つ入れることです。季語とは、その俳句がどの季節のことを書いているかを表す言葉です。たとえば「桜」と書けば春、「すいか」と書けば夏、「もみじ」と書けば秋、「雪」と書けば冬を表します。季語が入ると、十七音の中にきせつの空気感が一気に広がります。
季語は、自然の中にたくさんあります。お母さんがあおいに、季節ごとの代表的な季語をいくつか教えてくれました。あおいは、その中から自分の作りたい俳句に合いそうな言葉をえらぶことにしました。
季節 | 代表的な季語 |
|---|---|
春 | さくら、つばめ、菜の花、ひな祭り、春風 |
夏 | すいか、せみ、花火、夕立、ひまわり、海 |
秋 | もみじ、月、すずむし、いね、コスモス、こがらし |
冬 | 雪、こたつ、お正月、つばき、つらら、白い息 |
あおいは、夏休みに家族で行った海でひろった貝がらを思い出して、季語を「貝がら」ではなく「夏の海」にすることにしました。「貝がら」は季語にふくまれませんが、「夏」や「海」は季節の感じが強い言葉です。季語にまよったときは、国語のじてんや俳句の本で確かめると安心です。
音の数え方と小さい「っ」「ゃ」の数え方
音を数えるとき、小学生がよくつまずくのが、小さい「っ」「ゃ」「ゅ」「ょ」と「ー」(のばす音)の数え方です。これらにはルールがあって、覚えておくと音の数え方でまちがえなくなります。
- ふつうのひらがな:一文字で一音(例:「うみ」は、う・みで二音)
- 小さい「っ」:一音と数える(例:「らっぱ」は、ら・っ・ぱで三音)
- 小さい「ゃ」「ゅ」「ょ」:前の文字とあわせて一音(例:「きょうしつ」は、きょ・う・し・つで四音)
- のばす音「ー」:一音と数える(例:「ラーメン」は、ラ・ー・メ・ンで四音)
- 「ん」:一音と数える(例:「みかん」は、み・か・んで三音)
あおいが最初に作った句に「きゅうり食べた 夏のおひさま 白い雲」というものがありました。これを数えてみると、上の句「きゅうりたべた」は、きゅ・う・り・た・べ・たで六音。一音多くなっていました。小さい「ゅ」をうっかり「きゅ・う」と二音で数えていたためです。正しくは「きゅう」で二音ぶんですから、「きゅうりたべた」全体で六音。あおいは「きゅうりが・夏のおひさま・白い雲」のように、上の句を六音にして「字あまり」にするか、別の言葉に入れかえるかを考えました。
身近な場面から題材を選ぶ
俳句の題ざいは、とおくのきれいな場所や、めずらしい出来事でなくてかまいません。むしろ、身近な日じょうの中の小さな場面のほうが、自分の言葉でいきいきと書けます。むかしの俳人たちも、家のまわりの池、つくえの上のすずり、台所のにおいなど、ふだんの場面を俳句にしてきました。
- 朝の場面:登校とちゅうで見た景色、家族との会話、お弁当のにおい
- 学校の場面:そうじ時間、休み時間、給食、運動場の風
- 夕方の場面:夕やけ、せみの声、夕食のしたく、お風ろの時間
- 休日の場面:家ぞくとの外出、ペットとのおもいで、買い物のとちゅう
あおいは、夏休みに家族で行った海でひろった貝がらを、机のひきだしにしまっていることを思い出しました。今でもひきだしを開けると、海のにおいがほんの少し残っているような気がします。そのことを俳句にしようと決めました。「ひきだしに 夏の海あり 貝のおと」。声に出して読んでみると、なんとなく場面がうかぶような気がしました。
言葉を入れかえて読み比べる
俳句作りでいちばん楽しいのが、言葉を入れかえて読み比べる時間です。同じ場面でも、えらぶ言葉によって、心にひびく感じがぜんぜんちがってきます。最初に思いついた言葉が、いつもいちばんよいとはかぎりません。何回もちがう言葉で書いてみて、声に出して読み比べてみると、自分のいちばん気に入る一句がしだいに見えてきます。
もとの句 | 入れかえた句 | 感じのちがい |
|---|---|---|
ひきだしに 夏の海あり 貝のおと | ひきだしに 夏の音あり 貝の白 | 音から色へ、感じがしずかになる |
ひきだしに 夏の海あり 貝のおと | ひきだしに 海のおと聞く 夏の朝 | 場面の時間がはっきりする |
ひきだしに 夏の海あり 貝のおと | 机の上 夏の海あり 貝のおと | 場所がかわると景色もかわる |
あおいは、三つの句をならべて声に出して読んでみました。家ぞくにも読んでもらいました。お父さんは「最初の句がいちばん好きだな。ひきだしを開けたしゅんかんがうかんでくる」と言いました。あおいも、同じ意見でした。何度も読み比べるうちに、「ここをかえると、もっと自分の気持ちに近くなる」という感かくが、少しずつ身についていきます。
コピペで使える俳句作りテンプレ
一句目をどこから書き始めればよいか分からないときは、季語と場面の組み合わせを先に決めてしまうのが近道です。手順テンプレに沿ってうめていけば、五・七・五の形がしぜんに整います。江戸時代の俳人の作品を声に出して読むと、十七音のリズムが体にしみこんでいきます。下に手順と、よく知られている江戸期の名句を引用しておきます。
- 手順1 季語を一つえらぶ:春なら「さくら」、夏なら「せみ」のように、季節を表す言葉を一つ決める
- 手順2 場面を一つえらぶ:その季語に合う身近な場面(家の中、通学路、教室、公園など)を一つにしぼる
- 手順3 上の句(五音)を決める:場所や時間を表す言葉から始めると、五音にまとめやすい
- 手順4 中の句(七音)を作る:見たもの・聞いたもの・した動作を、七音に当てはめる
- 手順5 下の句(五音)で結ぶ:季語や、いちばん心が動いたものを、五音で言いきる
- 手順6 声に出して読み比べる:いくつかの形を作って、家族や友だちに読んでもらう
松尾芭蕉
「古池や 蛙飛びこむ 水のおと」(季語:蛙、春)松尾芭蕉
「閑(しずか)さや 岩にしみ入る 蝉(せみ)の声」(季語:蝉、夏)与謝蕪村
「菜の花や 月は東に 日は西に」(季語:菜の花、春)小林一茶
「やせ蛙 まけるな一茶 これにあり」(季語:蛙、春)
やってみよう(三つのステップで一句作る)
- ステップ1:身近な場面の中から、心が一しゅん動いた場ぼうを一つえらぶ
- ステップ2:その場めんに合う季語を、季節ごとの表から一つえらぶ
- ステップ3:見たもの・聞いたもの・感じたものを、五・七・五に当てはめてみる
- ステップ4:できた句を声に出して読み、言葉をいくつかちがうものに入れかえて読み比べる
- ステップ5:自分がいちばん気に入った形を、ノートに清書する
俳句はむずかしそうに見えますが、ルールは「五・七・五」と「季語を一つ入れる」の二つだけです。最初はうまくいかなくても、何度も作っているうちに、言葉のリズムがしぜんと身についてきます。学校で習った松尾芭蕉や与謝蕪村(よさぶそん)、小林一茶(こばやしいっさ)のような江戸時代の俳人たちの句を、声に出して何度か読んでみるのも、よいれんしゅうになります。読んだあとで、「自分ならどんな景色を俳句にするだろう」と考えてみると、新しいアイデアが生まれてきます。
よくある疑問
五・七・五から音がずれたらダメですか。
一音くらいなら「字あまり」「字たらず」とよばれて、俳句として通じます。ただし、できるだけ十七音にそろえるほうがリズムがよくなります。
季語が入らない俳句はダメですか。
季語が入らないものは「無季俳句」とよばれて、こちらも俳句のなかまです。ただし、学校の宿題では季語を入れるように言われることが多いので、ふつうは入れて作ります。
季語が二つ入ってもいいですか。
ふつうは一句に一つだけ入れます。季語が二つだと、どの季節の俳句なのかがぼやけてしまいます。
上の句、中の句、下の句のじゅん番は決まっていますか。
五・七・五のじゅんが基本です。ただし「字あまり」「字たらず」のように、少しくずす形もあります。学校では基本のじゅんで作りましょう。
