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11項目
新しいクラスの朝、教室の前に立ったとたん、頭がまっ白になってしまった経験はありませんか。三十人ぐらいのクラスメイトの目が、いっせいにこちらに向くだけで、口からは「えっと、その、◯◯です」としか出てこない。
すわってから、もう少しいろいろ話せばよかったと、ずっとこうかいする。じこしょうかいは、たった三十秒くらいの短い時間なのに、心ぞうがどきどきして、せっかく考えてきた話のじゅんばんも、いつのまにかどこかに行ってしまいます。
じつは、じこしょうかいで話すことは、三つに決めておくと、落ち着いて話しやすくなります。一つ目は名前、二つ目は好きなこと一つ、三つ目はさい後のひとこと。長い話よりも、心の中でこの三つだけ用意しておくほうが、本番でずっと話しやすくなります。
結論:話すことは名前・好きなこと一つ・最後のひとことの三つにしぼる
- 名前はふだんよりすこしゆっくりめに、口を大きく開けて、はっきりとていねいに伝えます。
- 好きなことは一つだけえらび、「どんなふうに好きか」を一つそえると、伝わりやすくなります。
- 最後のひとことには、これからの自分の気持ちや、相手にしてほしいことを一つくわえます。
- 声はいちばん後ろの人にとどく大きさで、目せんを左・まん中・右とゆっくり動かして話します。
自己紹介で大事な3つの要素
自己紹介は、長い時間をかけて全部を伝える必要はありません。三十秒くらいの短い時間でも、つぎの三つがそろっていれば、聞いている人の心にしっかりのこります。一つ目は名前。二つ目は、自分の好きなこと一つ。三つ目は、これから仲よくしてほしいというひとことです。
要素 | 何を伝えるか | 時間のめやす |
|---|---|---|
名前 | 自分の名前と、よびかたのきぼう | 5〜10秒 |
好きなこと | いちばん話せる好きなこと一つ | 15〜20秒 |
さい後のひとこと | これから仲よくしてほしい気持ち | 5〜10秒 |
三つを全部足しても、30秒から40秒くらい。一だん落分の話の長さです。これくらいなら、緊ちょうしていても、心の中で順番をおぼえておけます。
三つのうち一つでも入っていれば、自己紹介としてはちゃんと成立します。むりに長く話そうとして、とちゅうで止まってしまうよりも、短くてもしっかり言いきるほうが、相手にいんしょうがのこります。
たくさん話そうとしないことが大事
初めて会う人の前だと、つい「もっと自分のことを知ってもらいたい」と思って、たくさん話したくなります。でも、聞いている人は、はじめて会う相手の話を一度にぜんぶおぼえることはできません。
むしろ、「名前」「好きなこと」「最後のひとこと」のように、ポイントを少なくしぼったほうが、相手のきおくにのこりやすくなります。たくさん話すよりも、しぼって話す。これがじこしょうかいの大じなポイントです。
名前の伝え方の工夫
自己紹介でいちばん大じなのが、名前です。名前は、これから何度もよびあう言葉になるので、はっきりと、ていねいに伝えましょう。ふだんの会話より、すこしゆっくりめに、口を大きく開けて言うのがコツです。
「◯◯(苗字)◯◯(名前)です」のように、苗字と名前のあいだに、少しだけ間(ま)をあけると、聞き取ってもらいやすくなります。
- ふだんよりすこしゆっくりめに言う
- 苗字と名前のあいだに小さな間をいれる
- よびかたのきぼうがあれば伝える(「◯◯ってよんでください」など)
- 同じ名前の人がクラスにいる場合は、ちがう所をひとことくわえる
- むずかしい字の場合は、「◯◯の字を書きます」とせつ明する
よびかたのきぼうを伝えておくと、これから話しかけてくれる時に相手も気がらくになります。苗字より名前でよばれるほうがうれしいなら、最初にそう言っておくとよいでしょう。ただし、にがてなあだ名がある場合は、わざわざ言わなくても大じょうぶです。あとから少しずつ、いっしょにすごしながら伝えていけば足ります。
名前のせつ明をひと言そえてもいい
名前にむずかしい漢字がつかわれている場合は、「◯◯の『◯』に、◯◯の『◯』と書きます」のように、よく知られた言葉を使って字のせつ明をひとことそえるのもおすすめです。
ちょっとしたエピソードをくわえると、聞いている人もきょうみを持って聞いてくれます。たとえば、「◯◯という意味がこめられた名前です」と一文足すと、名前を覚えてもらうきっかけになります。
好きなことを一つにしぼる
じこしょうかいで二つ目に話すのは、自分の好きなことです。ここでも、たくさん話さないのがコツ。「サッカーとか、ピアノとか、読書とか…」というふうに、ずらずらと並べるのではなく、いちばん話したい好きなことを一つだけえらびます。
一つにしぼると、聞いている人もおぼえやすくなりますし、後で話しかけてくれるきっかけにもなります。
しぼり方の例 | 伝え方 |
|---|---|
サッカーが好き | 土日はちかくの公園でサッカーをしています |
本を読むのが好き | 読書記ろくをつけていて、今月は5さつ読みました |
ピアノが好き | 5才から続けていて、好きな曲はサクラサクラです |
工作が好き | こうさく用紙でいろんな立体を作るのが好きです |
動物が好き | 家に犬がいて、毎日いっしょにさんぽしています |
好きなことを話すときは、ただ「好きです」とだけ言うよりも、「どんなふうに好きか」を一つそえると、伝わりやすくなります。
「サッカーが好きで、土曜日は地いきのチームでれんしゅうしています」「本を読むのが好きで、今いちばん心にのこっているお話は◯◯です」というふうに、自分のじっさいの生活と結びつけて話します。これだけで、聞いている人にあなたのふだんのようすが見えてきます。
「ちょっとめずらしい好き」だとおぼえてもらいやすい
もしいくつかの好きなことから一つえらべるなら、ちょっとめずらしい好きをえらぶと、おぼえてもらいやすくなります。たとえば「将棋が好き」「化石を集めるのが好き」「天気予報を見るのが好き」のような、クラスでもあまりかぶらなさそうな好きです。
サッカーや野球のような人気のスポーツも、もちろん良いのですが、聞き手の中で他の人とまざってしまうこともあります。とくちょうのある好きは、自分のいんしょうを残しやすくしてくれます。
最後のひとことで印象を残す
じこしょうかいの三つ目は、最後のひとことです。「これから一年間、よろしくおねがいします」のような、ありきたりのひとことでも大じょうぶですが、もう少しだけ自分の気持ちをのせると、あたたかい感じが伝わります。
「いろんな人と話してみたいです」「サッカーがすきな人がいたら、ぜひ声をかけてください」など、これからの自分の気持ちや、相手にしてほしいことを一つくわえます。
- これから一年間、よろしくおねがいします
- いろんな人と話したいので、ぜひ声をかけてください
- クラスで楽しい思い出をたくさん作りたいです
- まだ慣れないことも多いので、いろいろ教えてください
- みんなと早くなかよくなれたら、うれしいです
「よろしくおねがいします」は、自己紹介をしめくくる定番のひと言です。これを言うと、聞いている人にも「これで終わりだな」というのが伝わって、はく手のタイミングを作ってあげることができます。
さいごのひとことを言い終わったら、すこし間をおいて、ぺこっと小さく頭を下げると、見ている人にもていねいないんしょうがのこります。
声と顔の向きで伝わり方が変わる
何を話すかだけでなく、どう話すかも大じです。声の大きさ、顔の向き、目せん。この三つを意しきすると、同じ内ようでも伝わりやすくなります。とくに大じなのは、教室のいちばん後ろの人にもとどく声で話すこと。自分の感覚では「ちょっと大きすぎるかな」と思うくらいの声が、ちょうどよく聞こえます。
ポイント | コツ |
|---|---|
声の大きさ | いちばん後ろの席の人にとどく大きさで |
顔の向き | 下を向かず、教室全体を見るように |
目せん | ときどき左、まん中、右と動かす |
ゆっくりさ | ふだんの会話より、すこしゆっくりめ |
しせい | 足は肩はばに開いて、せなかをのばす |
顔の向きは、ずっと一人だけを見るのではなく、ときどき左の人、まん中の人、右の人と、ゆっくり動かすとよいです。そうすると、教室にいる全員に話しかけているように感じてもらえます。
手はぶらぶらさせないで、おなかの前で軽く重ねるか、横にそっと下ろします。きん張すると、つい手をうごかしてしまうので、立つ前に深呼きゅうを一回するのがおすすめです。
自分の名前と好きなことを入れる自己紹介の例
本番の前に、場面べつの自己紹介を声に出してれんしゅうしておくと、教室の前に立ったときに落ち着いて話せます。下の四つは、◯◯のところを埋めると30秒くらいで話せる長さになる下書きです。発表原こうのノートに書き写し、自分の学年・組・名前・好きなことを入れてから、口に出して読んでみてください。
場面 | 自己紹介の言い方 |
|---|---|
新学期のクラス | こんにちは、◯年◯組になった、◯◯(名前)です。◯◯が好きで、◯◯をしています。クラスのみんなと、楽しい思い出をたくさん作っていきたいです。よろしくおねがいします。 |
クラブ・委員会 | はじめまして、◯年◯組の◯◯です。◯◯が好きで、今いちばん心にのこっているのは「◯◯」です。このクラブで、◯◯してみたいです。よろしくおねがいします。 |
全校集会・代表あいさつ | みなさん、こんにちは。◯年◯組の◯◯、と申します。今学期から、◯◯になりました。◯◯をしているので、◯◯をしょうかいできたらと思います。一年間、よろしくおねがいします。 |
オンライン授業 | こんにちは、◯年◯組の◯◯です。家では◯◯をしていて、◯◯するのが毎日の楽しみです。画面の中だけど、みんなと話せるのを楽しみにしています。よろしくおねがいします。 |
見本を見ながられんしゅうするときは、まず一回ぜんぶ読んでみて、つぎに紙を見ないでもう一度言ってみます。三回くらいくりかえすと、自然に自分の言葉になってきます。場面によって、声の大きさや話す速さも少し変えてみるとよいでしょう。
クラスでの自己紹介は教室全体にとどく声で、オンラインでは画面のマイクに向かってはっきりと話します。場面に合わせた話し方をれんしゅうしておくと、本番でも落ち着いて話しやすくなります。
やってみよう:家で30秒れんしゅう
本番でいきなり話そうとすると、頭が真っ白になりがちです。だから、前の日に家で30秒のれんしゅうをしておきましょう。おうちの人に聞いてもらえるなら、いちばんよいです。一人でれんしゅうするときは、かがみの前に立って、自分の顔を見ながら話してみます。声の大きさや、顔の向きが、自分でかくにんできます。
- 名前・好きなこと一つ・さい後のひとことを、紙にメモする
- 紙を見ないで、声に出してれんしゅうする(三回くらい)
- かがみの前で、目せんと顔の向きを意しきしてもう一回
- おうちの人に聞いてもらって、感想をもらう
- 本番の朝、もう一度小さな声でつぶやいて、心の中でかくにんする
前の夜に三十秒だけれんしゅうしておくと、本番のあさ、教室の前に立ったときに落ち着きやすくなります。決めておいた三つを順番に話せば、あっという間に終わるはずです。
話し終わったあとに、クラスメイトから「サッカー好きなんだ、いっしょにやろうよ」と声をかけてもらえるかもしれません。その日のうちに新しい友だちができることだってあります。じこしょうかいは、たった三十秒で、新しい一年を変えるきっかけになります。
