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8項目
読書感想文の宿題で、原こう用紙の最初の一行が何日たっても書けない、ということはありませんか。本は読み終えたのに、「この本は〜という話です」と書き出してみると、その先はあらすじをなぞるだけになってしまう。「主人公はやさしい男の子で〜」と書いてみても、それは本のしょうかいであって、自分の感想ではない。書いては消し、書いては消しをくり返すうちに、時間だけが過ぎていきます。
読書感想文は、本のあらすじを書くのではなく、心に残った場面と自分の気持ちをつなげて書く文章です。そのちがいに気づくと、書き出しの一行はぐっと出てきやすくなります。この記事では、書き出しがなぜ大事なのか、印象に残った場面の見つけ方、自分の経験とのつなげ方、登場人物の気持ちを想像する手順、終わりに自分の変化を書くコツを、小学校五年生・六年生の感想文づくりに合わせて順に解説します。
結論:あらすじでなく心に残った一場面から書き出す
- 「この本は〜という話です」のような本の説明から始めず、自分の心が動いた場面や気持ちから書き始めます。
- 何度も読み返した場面など、自分の心がいちばんゆれた場面を一つだけえらんで、感想文の中心にします。
- 本の中の出来事と自分の生活の中の出来事をつなげて書きます。日じょうの小さな出来事でじゅうぶんです。
- 感想文の終わりには、本を読む前と後で自分の何がかわったかを書きます。大きな変化でなくてかまいません。
書き出しが大事な理由
読書感想文の書き出しが大事な理由は、二つあります。一つ目は、読んだ人が「この感想文を読んでみよう」と思うかどうかが、最初の一、二行で決まるからです。二つ目は、書き出しが決まると、その先の文章もしぜんに進んでいくからです。書き出しでつまずいているうちは、感想文の全体もぼやけたままになってしまいます。
多くの人がやってしまう書き出しは、「ぼくはこの本を読みました」とか「この本は〜という話です」とか、本の説明から始める書き方です。これだと、感想文ではなく「あらすじ紹かい」になってしまいます。感想文の書き出しでは、「自分の心が動いた場面」や「自分の気持ち」から書き始めるのがコツです。
よくある書き出し | おすすめの書き出し |
|---|---|
ぼくは『○○』という本を読みました | ページをめくる手が止まりました |
この本は〜という話です | 主人公の言った一言が、頭からはなれません |
作者は〜という人です | もし自分だったら、と何度も考えました |
とてもおもしろい本でした | 読み終えた後、しばらくまどの外を見ていました |
印象に残った場面の見つけ方
感想文を書くうえで、いちばん最初にやることは「心に残った場面を一つえらぶ」ことです。一つの本の中には、たくさんの場面があります。その中から、自分の心がいちばんゆれた場面を一つだけえらびます。場面の見つけ方には、いくつかのコツがあります。
- ページのはしを折った場所:読みながら気になったページに、ふせんやページ折りをしておく
- 何度も読み返した場面:気がつくと二、三回読み直していた場面は、心に残っている
- 人に話したくなった場面:「ここがすごかった」と家族や友だちに話した場面
- 本を閉じても思い出す場面:本を閉じてから、ふと頭にうかんできた場面
たとえば、主人公がいじめられている友だちに「ぼくがそばにいるよ」と言う場面を、何度も読み返したとします。読んだときに胸がじーんとなって、本をひざに置いてしばらく手が止まった場面です。そういう場面を一つえらんで、感想文の中心にします。
自分の経験とつなげて書く
感想文をふかいものにするには、本の中の出来事と、自分の生活の中の出来事をつなげて書くのがコツです。本を読んだだけの感想だと、「すごいと思いました」「がんばりたいです」だけで終わってしまいます。自分の経験を入れると、その感想が読み手にもよく伝わるようになります。
主人公の「ぼくがそばにいるよ」というセリフを読んで、自分のかこの出来事を思い出すことがあります。たとえば、クラスで一人ぼっちになっていた友だちに、何も声をかけられなかった日。「あのとき、自分も主人公みたいに『そばにいるよ』と言えていたら、あの子はうれしかったかもしれない」。そう思ったら、ノートに書きとめておきます。本の中の場面と自分の出来事がつながったところが、感想文の中心になります。
自分の経験は、すごい体験でなくてかまいません。日じょうの中の小さな出来事でじゅうぶんです。家ぞくとのやり取り、友だちとのけんか、ペットとのおもいで、しかられた一日、ほめられた一日。本の場面と少しでも重なるところがあれば、それを書きましょう。
本の場面 | 自分の経験 |
|---|---|
主人公が友だちにあやまる場面 | 弟とけんかしたあと、ごめんと言えなかった日 |
登場人物がゆう気を出して話す場面 | クラスで手を上げるのがこわかった日 |
親子で言い合う場面 | お母さんに反こうしてしまった日 |
なかまと協力して何かをやりとげる場面 | クラスのそうじをみんなでがんばった日 |
登場人物の気持ちを想像して書く
感想文の中で、もう一つ大事なのは「登場人物の気持ちを想像する」ことです。本を読みながら、「この主人公はどんな気持ちだったのだろう」「この場面で、なぜこの言葉を言ったのだろう」と考えてみると、自分の中に新しい気づきが生まれます。その気づきを感想文に書くと、ぐっと中身のある文章になります。
気持ちを想像するときは、本に書かれた「行動」と「セリフ」と「ようす」を手がかりにします。主人公がうつむいたのなら、はずかしかったのかもしれない。だまったのなら、何かを言い出せなかったのかもしれない。にぎりこぶしを作ったのなら、くやしかったのかもしれない。文章のすき間にかくれている気持ちを、自分のことばで書き足してみましょう。
- 行動を見る:手のうごき、足のうごき、目のうごきから気持ちを考える
- セリフを見る:何を言ったかだけでなく、どんな声で、どんなタイミングで言ったかを考える
- ようすを見る:天気、まわりの音、においなど、場面ぜんたいのふんい気から気持ちを考える
- だまっている時間を見る:何も書かれていない場所にこそ、深い気持ちがかくれている
最後に自分の変化を書く
感想文の終わりには、その本を読む前の自分と、読んだあとの自分で、何がかわったかを書きます。これは「自分の中の変化」です。大きな変化でなくてかまいません。本を読む前は思ってもみなかった気持ちが、心の中に生まれていたら、それが立ぱな変化です。
感想文の最後は、たとえばこう書きます。「ぼくは、この本を読む前は、友だちが一人でいても、声をかけるのは少しはずかしいと思っていました。でも今は、はずかしさよりも、その子の気持ちを考えるほうが大事だと思うようになりました。明日、教室で一人でいる子がいたら、ぼくのほうから話しかけてみたいです。」読む前と読んだあとで何がかわったかが、はっきり書けています。
読書感想文の書き出しを考える7つの例
書き出しの一行で何時間も止まってしまうなら、ほかの人の入り口を見てみるのが早いです。「印象的な場面から」「会話から」「自分の経験から」など、よく使われる七つのパターンを例文つきでならべておきます。例文の中の場面やセリフは、説明のために作ったものです。自分の感想文では、実さいに読んだ本の中から、心に残った場面や言葉を選んで書きます。気に入った入り口を一つえらび、本を開いて、その場面のページをたしかめてから書き始めてみてください。
書き出しの入り口 | 例文 |
|---|---|
印象的な場面から | 「ページをめくる手が、その場面で一しゅん止まりました。」 |
会話から | 「『ぼくがそばにいるよ。』その一言が、頭からはなれません。」 |
自分の経験から | 「ぼくにも、この主人公と同じような日がありました。」 |
しつ問から | 「もし自分だったら、同じことを言えただろうか。」 |
気持ちから | 「読み終えたあと、しばらくまどの外を見ていました。」 |
色や音から | 「夕やけ空のページが、まだ目の中に残っています。」 |
気づきから | 「友だちというものの本当の意味を、ぼくはこの本ではじめて知りました。」 |
よくある疑問
あらすじはまったく書いてはいけないのですか。
心に残った場面の前後を少しだけ書くのは必要です。ただし、感想文ぜんたいの三分の一いじょうをあらすじにしないようにします。
本の中の文をそのまま書き写してもいいですか。
心に残ったセリフを「カギかっこ」でかこんで引用するのはよい方法です。引用したあとに、自分がなぜその一言にひかれたのかを書きそえましょう。
一つの本でうまく書けないときは、どうしますか。
別の本を読み直してみてください。心に残った場面が思い出せない本では、感想文は書きにくいです。
「楽しかったです」で終わってもいいですか。
それだけで終わるとあっさりしすぎてしまいます。「楽しかった」のあとに「だから、自分も〜してみたいと思いました」など、自分のこれからにつなげる一文を入れましょう。
