物語文での登場人物の気持ちの読み取り方とセリフ・行動から考えるコツ

物語文での登場人物の気持ちの読み取り方とセリフ・行動から考えるコツの記事を表すモノクロ漫画風イラスト

物語文で人物の気持ちを読み取るコツを、セリフ・行動・地の文の3つの場所でやさしく整理します。テストで「○○の気持ちを書きなさい」と聞かれたときに、どこを見て答えるかを順番に確かめられます。

目次

  1. 登場人物の気持ちは三つの場所にかくれている
  2. セリフから気持ちを読み取る練習
  3. 行動と表情の言葉に注目する
  4. 地の文の言いかえに気づくコツ
  5. 気持ちが変わった場面の見つけ方
  6. 読み取った気持ちを答えるときの書き方
  7. コピペで使える気持ちの答え方テンプレ
  8. やってみよう(線引き読みの三ステップ)

国語のテストでよく出される「このとき、○○はどんな気持ちでしたか」という問題に、なぜか点数がもらえない、ということはありませんか。「うれしい気持ち」「かなしい気持ち」と短く書いても、丸がつかないことが多いのです。物語文の中で、登場人物の気持ちが「うれしかった」「悲しかった」とそのまま書かれていることは、じつはほとんどありません。気持ちは、文章の中の見えにくい場所にかくれているのです。

登場人物の気持ちは、おもに三つの場所にかくれています。一つはセリフ、二つは行動、三つは地の文(セリフ以外の説明の部分)です。この三つを順番にチェックしながら読めば、気持ちはかならず読み取れます。この記事では、三つの場所のそれぞれで気持ちをどう見つけるか、気持ちが変わった場面のとらえ方、答えを書くときの組み立て方、線引き読みの三ステップを、小学校四年生・五年生の読解れんしゅうに合わせて順に整理します。

登場人物の気持ちは三つの場所にかくれている

物語文の中で、登場人物の気持ちが直せつ書かれている場面はあまりありません。「○○はうれしかった」と書いてあれば一発で分かりますが、たいていは「うれしさ」を読み手が読み取らなければいけないように書かれています。気持ちのヒントがかくれている場所は、おもに三つです。

  • セリフ:登場人物が話している言葉。声の調子や言葉のえらび方から気持ちが見える
  • 行動:登場人物がやっていること、体の動き、表じょう、ようす
  • 地の文:セリフ以外の説明の部分。天気、まわりの様子、たとえなどから気持ちが見える

この三つを意識して読むだけで、物語文の見え方が大きくかわります。今までは「文を読む」だけだったのが、「気持ちのヒントを集めながら読む」になります。プリントの大事な場所に線を引いておくと、テストのときに見直しがらくになります。

セリフから気持ちを読み取る練習

セリフは、気持ちを読み取るためのいちばん分かりやすい手がかりです。ただし、書かれている言葉の意味だけで判だんしないように気をつけます。たとえば「もういいよ」というセリフは、本当に「いいよ」と思っている場合と、「もういやだ」とおこっている場合の両方があります。だから、セリフを読むときは「言葉そのもの」と「言い方」の両方を見ます。

セリフ

考えられる気持ち

手がかり

「うん……。」

こまっている、まよっている

点が三つあり、すぐに答えていない

「べつに。」

おこっている、すねている

短い、相手の話をふっている

「ありがとう、本当にありがとう。」

とてもうれしい、感しゃしている

同じ言葉をくり返している

「……。」

おどろいている、言葉が出ない

セリフがからっぽ

セリフのまわりにある「言い方」を表す言葉も、見のがしてはいけません。「小さな声で言った」「目をふせて言った」「えがおで言った」「ふるえる声で言った」。これらは、その人の気持ちをはっきりと教えてくれます。プリントに線を引くときは、セリフ本体だけでなく、そのまわりの言い方まで線を引いておくと、答えを書くときに役に立ちます。

行動と表情の言葉に注目する

登場人物の「行動」も、気持ちのヒントがたくさんかくれている場所です。人は、気持ちが動いたとき、それが体の動きに出ます。物語の作者は、その動きを書くことで、読み手に気持ちを伝えています。たとえば「だまってうつむいた」とあれば、はずかしかったのか、悲しかったのか、はんせいしたのか、どれかの気持ちがあります。

  • 手の動き:にぎりこぶしを作る(くやしい)、両手で顔をおおう(なきそう)、ハイタッチ(よろこび)
  • 目の動き:目をふせる(はずかしい)、目を見開く(おどろき)、ちらっと見る(きにしている)
  • 足の動き:すばやくかけだす(うれしい・あせり)、立ち止まる(まよい)、足ぶみ(いらだち)
  • 顔の様子:くちびるをかむ(がまん)、ほおを赤くする(はずかしい)、ほおえみ(うれしい)

みさきがテストでよく出される文章の中に、「みのるはこくりとうなずいて、ろうかに出ていった」という一文がありました。「こくりとうなずいて」だけだと、ふつうにへんじしているように見えますが、「ろうかに出ていった」が続くと、何かを言いたかったけれど言えなかった気持ちが感じられます。行動を一つひとつ追っていくと、登場人物の気持ちのぶれが見えてきます。

地の文の言いかえに気づくコツ

物語文の中で、いちばん見のがしやすいのが「地の文」のヒントです。地の文とは、登場人物のセリフ以外の、説明の部分のことです。天気、まわりの様子、たとえ、季節の音、においなど、いっけん気持ちと関係なさそうに見える文の中に、じつは登場人物の気持ちが重ねられていることがよくあります。

地の文の例

かくれている気持ち

空には灰色の雲が広がっていた

しずんだ気持ち、よくない予感

まどの外で、すずめが楽しそうに鳴いている

はずんだ気持ち、明るさ

時計の音だけが、やけに大きく聞こえた

しずけさ、きんちょう、まよい

風がほおをやさしくなでていった

安心、ほっとした気持ち

作者は、登場人物の気持ちを直せつ書かないかわりに、まわりの景色や音で気持ちをえがくことがよくあります。これは「じょうけい」とよばれる書き方です。地の文を読むときは、「この景色は、登場人物のどんな気持ちと重なっているかな」と一しゅん考えるくせをつけると、読解の力が大きくのびます。

気持ちが変わった場面の見つけ方

テストでよく出るもう一つの問題が、「登場人物の気持ちはどのように変わりましたか」というものです。これは、ある場面と別の場面で、気持ちがどう動いたかを答える問題です。気持ちが変わるきっかけになる場所を、本文の中で見つけることが大事になります。

気持ちが変わるきっかけは、たいてい次の三つのどれかです。一つ目は「だれかからの言葉」。友だちの一言や、家族の声かけで気持ちが動きます。二つ目は「何かの出来事」。じけんが起きて、気持ちがかわります。三つ目は「自分のはっけん」。何かに気づいて、自分の中で気持ちが動きます。

  1. だれかからの言葉:「だいじょうぶ?」の一言で、ふあんがやわらいだ
  2. 何かの出来事:友だちがけがをして、自分がしっかりしようと思った
  3. 自分のはっけん:本のページをめくっていて、お母さんの気持ちに気づいた

読み取った気持ちを答えるときの書き方

気持ちを読み取れても、答えの書き方が悪いと点数につながりません。みさきがいつも書いていた「うれしい気持ち」だけでは、なぜそうなったのかが分かりません。答えを書くときは、「(きっかけ)から、(気持ち)になっている」というかたちでまとめると、しっかりした答えになります。

ダメな答え

よい答え

うれしい気持ち

友だちが声をかけてくれたから、ほっとうれしくなっている

かなしい気持ち

お父さんにしかられて、自分のしたことをくやしく思っている

こまった気持ち

どちらをえらべばよいか分からず、まよっている

おこっている

弟がだいじにしていたおもちゃをこわして、はらが立っている

よい答えには、「きっかけ」「気持ちの種るい」「気持ちの強さや細かい様子」の三つが入っています。本文のどこにヒントがあったかを思い出しながら書くと、しぜんとこの形になります。みさきも、線を引いた場所を見ながら答えを書くようにしてから、テストの点数がだんだん上がっていきました。

コピペで使える気持ちの答え方テンプレ

テストで「○○の気持ちを書きなさい」と聞かれたときに、空らんの前で止まってしまうことがあります。そんなときは、答えの「型」をいくつか覚えておくと、すぐに書き出せるようになります。下の答え方テンプレは、本文のことばを入れかえるだけで、しっかりとした答えになります。あわせて、気持ちを表すことばのリストも見て、自分の答えの中に使ってみてください。

  • 「○○な気持ち」型

    「友だちにせめられて、はずかしい気持ち。」
  • 「○○と感じている」型

    「自分のしたことを、わるかったと感じている。」
  • 「○○ので、○○な気持ち」型

    「テストで百点をとれたので、ほこらしい気持ち。」
  • 「○○から、○○になっている」型

    「お母さんに声をかけられたから、ふあんがやわらいでいる。」
  • 「○○けれど、○○な気持ち」型

    「こわかったけれど、やってみたいという気持ち。」
  • 「○○して、○○な気持ち」型

    「弟がけがをして、しんぱいでたまらない気持ち。」
  • 「ようやく○○できて、○○な気持ち」型

    「ようやくゆう気を出して言えて、ほっとした気持ち。」

気持ちのしゅるい

気持ちを表すことば

うれしい系

うれしい、ほこらしい、はずんだ、わくわくした、ほっとした

かなしい系

かなしい、さびしい、心ぼそい、むなしい、しょんぼりした

おこっている系

はらが立つ、くやしい、いらだった、ふまんな、なっとくいかない

こまっている系

こまった、まよった、ふあんな、しんぱいな、ためらった

おどろき系

おどろいた、びっくりした、息をのんだ、目を見開いた、声が出ない

はずかしい系

はずかしい、めんぼくない、いたたまれない、顔から火が出る

やってみよう(線引き読みの三ステップ)

  1. ステップ1:本文を一回読みながら、セリフに青い線を引く
  2. ステップ2:もう一度読みながら、行動や表じょうを表す言葉にオレンジの線を引く
  3. ステップ3:さい後にもう一度読みながら、地の文の中の天気・景色・音にみどりの線を引く

三色の線を引き終わったあとに問題を見ると、答えのヒントがどこにあるかが目で分かるようになります。最初はめんどうに感じるかもしれませんが、なれてくると、頭の中で自然に「ここはセリフ、ここは行動」と分けて読めるようになります。読み取った気持ちを書くときに、どんな言葉で表せばよいか分からないときは、類義語の見つけ方を学んでおくと、表現のはばが広がります。