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物語文での登場人物の気持ちの読み取り方とセリフ・行動から考えるコツ

物語文で人物の気持ちを読み取るコツを、セリフ・行動・地の文の3つの場所でやさしく整理します。テストで「○○の気持ちを書きなさい」と聞かれたときに、どこを見て答えるかを順番に確かめられます。
目次
国語のテストでよく出される「このとき、○○はどんな気持ちでしたか」という問題に、なぜか点数がもらえない、ということはありませんか。「うれしい気持ち」「かなしい気持ち」と短く書いても、丸がつかないことが多いのです。物語文の中で、登場人物の気持ちが「うれしかった」「悲しかった」とそのまま書かれていることは、じつはほとんどありません。気持ちは、文章の中の見えにくい場所にかくれているのです。
登場人物の気持ちは、おもに三つの場所にかくれています。一つはセリフ、二つは行動、三つは地の文(セリフ以外の説明の部分)です。この三つを順番にチェックしながら読めば、気持ちはかならず読み取れます。この記事では、三つの場所のそれぞれで気持ちをどう見つけるか、気持ちが変わった場面のとらえ方、答えを書くときの組み立て方、線引き読みの三ステップを、小学校四年生・五年生の読解れんしゅうに合わせて順に整理します。
登場人物の気持ちは三つの場所にかくれている
物語文の中で、登場人物の気持ちが直せつ書かれている場面はあまりありません。「○○はうれしかった」と書いてあれば一発で分かりますが、たいていは「うれしさ」を読み手が読み取らなければいけないように書かれています。気持ちのヒントがかくれている場所は、おもに三つです。
- セリフ:登場人物が話している言葉。声の調子や言葉のえらび方から気持ちが見える
- 行動:登場人物がやっていること、体の動き、表じょう、ようす
- 地の文:セリフ以外の説明の部分。天気、まわりの様子、たとえなどから気持ちが見える
この三つを意識して読むだけで、物語文の見え方が大きくかわります。今までは「文を読む」だけだったのが、「気持ちのヒントを集めながら読む」になります。プリントの大事な場所に線を引いておくと、テストのときに見直しがらくになります。
セリフから気持ちを読み取る練習
セリフは、気持ちを読み取るためのいちばん分かりやすい手がかりです。ただし、書かれている言葉の意味だけで判だんしないように気をつけます。たとえば「もういいよ」というセリフは、本当に「いいよ」と思っている場合と、「もういやだ」とおこっている場合の両方があります。だから、セリフを読むときは「言葉そのもの」と「言い方」の両方を見ます。
セリフ | 考えられる気持ち | 手がかり |
|---|---|---|
「うん……。」 | こまっている、まよっている | 点が三つあり、すぐに答えていない |
「べつに。」 | おこっている、すねている | 短い、相手の話をふっている |
「ありがとう、本当にありがとう。」 | とてもうれしい、感しゃしている | 同じ言葉をくり返している |
「……。」 | おどろいている、言葉が出ない | セリフがからっぽ |
セリフのまわりにある「言い方」を表す言葉も、見のがしてはいけません。「小さな声で言った」「目をふせて言った」「えがおで言った」「ふるえる声で言った」。これらは、その人の気持ちをはっきりと教えてくれます。プリントに線を引くときは、セリフ本体だけでなく、そのまわりの言い方まで線を引いておくと、答えを書くときに役に立ちます。
行動と表情の言葉に注目する
登場人物の「行動」も、気持ちのヒントがたくさんかくれている場所です。人は、気持ちが動いたとき、それが体の動きに出ます。物語の作者は、その動きを書くことで、読み手に気持ちを伝えています。たとえば「だまってうつむいた」とあれば、はずかしかったのか、悲しかったのか、はんせいしたのか、どれかの気持ちがあります。
- 手の動き:にぎりこぶしを作る(くやしい)、両手で顔をおおう(なきそう)、ハイタッチ(よろこび)
- 目の動き:目をふせる(はずかしい)、目を見開く(おどろき)、ちらっと見る(きにしている)
- 足の動き:すばやくかけだす(うれしい・あせり)、立ち止まる(まよい)、足ぶみ(いらだち)
- 顔の様子:くちびるをかむ(がまん)、ほおを赤くする(はずかしい)、ほおえみ(うれしい)
みさきがテストでよく出される文章の中に、「みのるはこくりとうなずいて、ろうかに出ていった」という一文がありました。「こくりとうなずいて」だけだと、ふつうにへんじしているように見えますが、「ろうかに出ていった」が続くと、何かを言いたかったけれど言えなかった気持ちが感じられます。行動を一つひとつ追っていくと、登場人物の気持ちのぶれが見えてきます。
地の文の言いかえに気づくコツ
物語文の中で、いちばん見のがしやすいのが「地の文」のヒントです。地の文とは、登場人物のセリフ以外の、説明の部分のことです。天気、まわりの様子、たとえ、季節の音、においなど、いっけん気持ちと関係なさそうに見える文の中に、じつは登場人物の気持ちが重ねられていることがよくあります。
地の文の例 | かくれている気持ち |
|---|---|
空には灰色の雲が広がっていた | しずんだ気持ち、よくない予感 |
まどの外で、すずめが楽しそうに鳴いている | はずんだ気持ち、明るさ |
時計の音だけが、やけに大きく聞こえた | しずけさ、きんちょう、まよい |
風がほおをやさしくなでていった | 安心、ほっとした気持ち |
作者は、登場人物の気持ちを直せつ書かないかわりに、まわりの景色や音で気持ちをえがくことがよくあります。これは「じょうけい」とよばれる書き方です。地の文を読むときは、「この景色は、登場人物のどんな気持ちと重なっているかな」と一しゅん考えるくせをつけると、読解の力が大きくのびます。
気持ちが変わった場面の見つけ方
テストでよく出るもう一つの問題が、「登場人物の気持ちはどのように変わりましたか」というものです。これは、ある場面と別の場面で、気持ちがどう動いたかを答える問題です。気持ちが変わるきっかけになる場所を、本文の中で見つけることが大事になります。
気持ちが変わるきっかけは、たいてい次の三つのどれかです。一つ目は「だれかからの言葉」。友だちの一言や、家族の声かけで気持ちが動きます。二つ目は「何かの出来事」。じけんが起きて、気持ちがかわります。三つ目は「自分のはっけん」。何かに気づいて、自分の中で気持ちが動きます。
- だれかからの言葉:「だいじょうぶ?」の一言で、ふあんがやわらいだ
- 何かの出来事:友だちがけがをして、自分がしっかりしようと思った
- 自分のはっけん:本のページをめくっていて、お母さんの気持ちに気づいた
読み取った気持ちを答えるときの書き方
気持ちを読み取れても、答えの書き方が悪いと点数につながりません。みさきがいつも書いていた「うれしい気持ち」だけでは、なぜそうなったのかが分かりません。答えを書くときは、「(きっかけ)から、(気持ち)になっている」というかたちでまとめると、しっかりした答えになります。
ダメな答え | よい答え |
|---|---|
うれしい気持ち | 友だちが声をかけてくれたから、ほっとうれしくなっている |
かなしい気持ち | お父さんにしかられて、自分のしたことをくやしく思っている |
こまった気持ち | どちらをえらべばよいか分からず、まよっている |
おこっている | 弟がだいじにしていたおもちゃをこわして、はらが立っている |
よい答えには、「きっかけ」「気持ちの種るい」「気持ちの強さや細かい様子」の三つが入っています。本文のどこにヒントがあったかを思い出しながら書くと、しぜんとこの形になります。みさきも、線を引いた場所を見ながら答えを書くようにしてから、テストの点数がだんだん上がっていきました。
コピペで使える気持ちの答え方テンプレ
テストで「○○の気持ちを書きなさい」と聞かれたときに、空らんの前で止まってしまうことがあります。そんなときは、答えの「型」をいくつか覚えておくと、すぐに書き出せるようになります。下の答え方テンプレは、本文のことばを入れかえるだけで、しっかりとした答えになります。あわせて、気持ちを表すことばのリストも見て、自分の答えの中に使ってみてください。
「○○な気持ち」型
「友だちにせめられて、はずかしい気持ち。」「○○と感じている」型
「自分のしたことを、わるかったと感じている。」「○○ので、○○な気持ち」型
「テストで百点をとれたので、ほこらしい気持ち。」「○○から、○○になっている」型
「お母さんに声をかけられたから、ふあんがやわらいでいる。」「○○けれど、○○な気持ち」型
「こわかったけれど、やってみたいという気持ち。」「○○して、○○な気持ち」型
「弟がけがをして、しんぱいでたまらない気持ち。」「ようやく○○できて、○○な気持ち」型
「ようやくゆう気を出して言えて、ほっとした気持ち。」
気持ちのしゅるい | 気持ちを表すことば |
|---|---|
うれしい系 | うれしい、ほこらしい、はずんだ、わくわくした、ほっとした |
かなしい系 | かなしい、さびしい、心ぼそい、むなしい、しょんぼりした |
おこっている系 | はらが立つ、くやしい、いらだった、ふまんな、なっとくいかない |
こまっている系 | こまった、まよった、ふあんな、しんぱいな、ためらった |
おどろき系 | おどろいた、びっくりした、息をのんだ、目を見開いた、声が出ない |
はずかしい系 | はずかしい、めんぼくない、いたたまれない、顔から火が出る |
やってみよう(線引き読みの三ステップ)
- ステップ1:本文を一回読みながら、セリフに青い線を引く
- ステップ2:もう一度読みながら、行動や表じょうを表す言葉にオレンジの線を引く
- ステップ3:さい後にもう一度読みながら、地の文の中の天気・景色・音にみどりの線を引く
三色の線を引き終わったあとに問題を見ると、答えのヒントがどこにあるかが目で分かるようになります。最初はめんどうに感じるかもしれませんが、なれてくると、頭の中で自然に「ここはセリフ、ここは行動」と分けて読めるようになります。読み取った気持ちを書くときに、どんな言葉で表せばよいか分からないときは、類義語の見つけ方を学んでおくと、表現のはばが広がります。
