目次
13項目
社会科見学や校外学習でお世話になった人に、お礼の手紙を書くことになった時、原こう用紙を前にして手が止まってしまった経験はありませんか。家ではふだん手紙なんて書かないし、何から書きはじめればいいのかも分からない。
思い出はたくさんあるはずなのに、いざ書こうとすると言葉が出てこない。クラスのみんなが書きすすめていく中で、自分の用紙だけ白いままで、あせってしまう。手紙を書くじかんは、そんなふうにこまることが多いものです。
お礼の手紙には、じつは書きやすい「型」があります。あいさつ、お礼の中身、自分の気持ち、結びのあいさつ、名前。この順に書いていくと、書くことが見つけやすくなります。型を知っていれば、思い出を一つずつ思いうかべながら、ゆっくり書きすすめることができます。
結論:あいさつ・お礼の中身・気持ち・結び・名前の順に書く
- 書き出しはきせつのあいさつのあとに、自分がどこのだれかを書いて、相手に思い出してもらいます。
- お礼の中身は何にお礼を言うかを具体的に、心にのこったことを一つか二つにしぼって、見たことと感じたことを一組で書きます。
- 気持ちは大げさな言葉をえらばず、「どうしてうれしかったのか」を自分のふつうの言葉で一文足します。
- 結びは相手の体や仕事を気づかうひと言で書き、日づけと、学校名・学年・組・名前をそえます。
お礼の手紙で伝えたいこと
お礼の手紙は、ただ「ありがとう」と書けばよいわけではありません。手紙を受け取る人に、「あの時間が、自分にとってこんなにうれしい時間でした」「こんなことを学びました」ということを伝えるのが、いちばんの目あてです。
だから、長い文章を書く必要はありません。短くても、自分の心の中にのこっていることが伝われば、それで十分に良い手紙です。
受け取る人の顔を思いうかべながら書くと、言葉がやわらかくなります。工場の人なら、生地をこねていた手の動きや、やさしく説明してくれた声、見送ってくれた笑顔。
そういうけしきを思い出しながら書くと、「あの時の自分」が思い出した気持ちが、そのまま手紙の中に入っていきます。手紙は、見学のあとの自分の心を、相手におすそ分けするようなものだと考えてみてください。
メールとはちがう、紙に残る言葉
手紙は、メールやメッセージとちがって、紙に残ります。受け取った人は、何度も読み返したり、机の上に飾っておいたりすることもあります。だからこそ、ていねいな字で、まちがいのないようにきれいに書きたいところです。
とちゅうで字をまちがえてしまったら、しゅうせいテープでなおすよりも、もう一度はじめから書き直したほうが、見た目がきれいに仕上がります。
書き出しのあいさつの型
お礼の手紙のいちばん最初は、あいさつから始まります。あいさつには、「拝啓(はいけい)」のような形式ばった書き方もありますが、小学生のお礼の手紙では、もっとやわらかい言葉で書きはじめても大じょうぶです。きせつのあいさつをかんたんに入れると、手紙らしくなります。
きせつ | 書き出しのれい |
|---|---|
春 | さくらの花がきれいにさく時きになりました。お元気でいらっしゃいますか。 |
夏 | 毎日あつい日がつづいていますが、いかがおすごしですか。 |
秋 | 木のはが色づきはじめましたね。お元気でしょうか。 |
冬 | さむい日がつづいていますが、おかわりなくおすごしですか。 |
きせつのあいさつのあとに、自分の名前と、どこのだれかを書きます。たとえば「わたしは、◯◯小学校◯年◯組の◯◯です。先日は、社会科見学でおじゃまさせていただきました」というふうに、相手があなたのことを思い出せるように書きます。
お世話になった日からあまり時間がたっていなければ、「先日は」と書くだけでじゅうぶん思い出してもらえます。
相手のことを思い出してもらうひと言
クラスでまとめて手紙を出すとき、相手の方はたくさんの手紙を一度に読むことになります。だから、自分の手紙がだれからのものか、すぐに分かるように、書き出しで自分のことを少しせつ明しておくと親切です。
「わたしは、青いぼうしをかぶっていた」「いちばん前のれつで、はじめに質もんをした」など、相手が思い出しやすいヒントを一つ入れると、受け取る人もうれしいものです。
何にお礼を言うかを具体的に書く
あいさつのあとは、いよいよお礼の中身です。ここで大切なのは、「具たい的に書く」ということ。ただ「ありがとうございました」だけだと、何にお礼を言っているのかが伝わりません。相手の方が、「あの時、こんなふうにしてあげてよかった」と思い出せるくらい、はっきりと書きましょう。
- 見せていただいたもの(生地をこねるところ、オーブンに入れる作業など)
- 教えていただいたこと(パンができるまでの時間、原りょうのこだわりなど)
- いただいたもの(やきたてのパン、おみやげのレシピなど)
- 答えてくださった質問(自分がした質問のないようをかんたんに書く)
- その時の自分の気持ち(びっくりした、感心した、楽しかった など)
心にのこったことを一つか二つえらび、くわしく書きます。全部をならべるより、「生地をこねるときの、手のうごきの早さにおどろきました」のように、見たことと感じたことを一組で書くと、何に感謝しているかが伝わります。
自分の気持ちを言葉にする
お礼の中身を書いたら、つぎは、自分の気持ちを言葉にします。ここがいちばんむずかしいところで、いちばん大事なところです。
「うれしかったです」「すごいと思いました」だけだと、ちょっとあっさりしすぎてしまいます。「どうしてうれしかったのか」「何にすごいと感じたのか」を、一文足してみると、気持ちが伝わる手紙になります。
あっさり版 | もう一文足した版 |
|---|---|
楽しかったです。 | 生地をさわらせてもらったとき、思っていたよりやわらかくてびっくりしました。 |
すごいと思いました。 | 毎日たくさんのパンを同じ形にやけることが、すごいと思いました。 |
ありがとうございました。 | 見学のあと、家でもパンを大事にたべるようになりました。 |
勉強になりました。 | 一つのパンができるまでに、たくさんの人がかかわっていることを知りました。 |
気持ちを言葉にするときに役立つのが、「見学のまえと、見学のあとで、自分の中で何がかわったか」を思い出してみることです。
「前はパンは買うものだと思っていたけれど、今はだれかが作ってくれているものだと感じるようになった」など、自分の気持ちのへんかを書くと、それだけで一つの大事なお礼になります。短くても、本当に思ったことを書くと、読む人の心にとどきます。
大げさな言葉はえらばなくていい
「いっしょうわすれません」「人生で一番の思い出です」というような、大げさな言葉はえらばなくて大じょうぶです。ぎゃくに、気持ちがじっさいよりも軽く見えてしまうこともあります。
自分の中にある、ふつうのことばで書くのがいちばんです。たとえば「家ぞくにも話したくなりました」「またパンを食べるときに思い出します」のような、すこしじみでも本当の気持ちのほうが、相手にとってはうれしいものです。
結びのあいさつと名前の書き方
お礼の中身と気持ちが書けたら、いよいよ結びのあいさつです。結びは、相手の体や仕事を気づかうひと言で書きます。きせつによって少しずつ言い方を変えると、より気のきいた手紙になります。短くてかまわないので、相手のことを思って書くのが大事です。
- これからもおいしいパンを作ってください。
- おからだに気をつけて、おすごしください。
- またおじゃまできる日を楽しみにしています。
- お仕事、たいへんだと思いますが、おうえんしています。
- 本当にありがとうございました。
結びのあとは、日づけと、自分の名前を書きます。日づけは、手紙を書いた日の年・月・日。名前のところには、学校名・学年・組・名前をフルネームで書きます。クラスでまとめて出す手紙でも、自分の名前を書きわすれないようにしましょう。名前はていねいに、いつもより少しゆっくり書くと、字がきれいにまとまります。
書く場所 | 書くこと | ちゅう意 |
|---|---|---|
手紙の右下 | 日づけ(年・月・日) | 書いた日を書く |
日づけの下 | 自分の名前 | 学校・学年・組・名前を書く |
左下 | あて名(◯◯様) | 相手のお名前を書く |
実際の思い出を入れて使うお礼の手紙のひな型
手紙の組み立て方は分かっても、いざ書こうとすると言葉がうかんでこないことがあります。ここでは、場面ごとに「書き出し・本文・結び」の三部がそろったひな型をしょうかいします。
◯◯のところには、実さいにあった出来事・教えてもらったこと・そのときの気持ちを入れます。ひな型のあとに、埋めたときの記入例ものせておきます。
ひな型(◯◯を自分のことに入れかえる)
場面 | 手紙のひな型 |
|---|---|
先生にお礼 | 先生、お元気ですか。先日はおせわになりました。◯◯の時間に、◯◯をていねいに教えてくださり、ありがとうございました。今は◯◯を楽しんでいます。これからもよろしくおねがいします。 |
見学先の方にお礼 | 先日は、社会科見学でおじゃまさせていただきました。◯◯を見せていただき、◯◯におどろきました。家でも、◯◯を大じにするようになりました。おからだに気をつけて、おすごしください。 |
家族にお礼 | いつも、毎日ありがとう。先週、◯◯のときに、◯◯してくれて、本当に助かりました。おかげで、◯◯できました。これからもよろしくおねがいします。 |
お世話になった大人にお礼 | いつもお世話になっております。先日の◯◯では、◯◯を教えてくださり、ありがとうございました。◯◯ができて、とてもうれしかったです。また、いろいろ教えてください。 |
記入例(実さいに書くとこうなります)
場面 | 書いた例 |
|---|---|
先生にお礼 | 先生、お元気ですか。先日はおせわになりました。図工の時間に、ねん土のこね方をていねいに教えてくださり、ありがとうございました。家でも作品作りを楽しんでいます。これからもよろしくおねがいします。 |
見学先の方にお礼 | 先日は、社会科見学でおじゃまさせていただきました。パンの生地をこねるところを見せていただき、手のうごきの早さにおどろきました。家でも、毎日のパンを大じに食べるようになりました。おからだに気をつけて、おすごしください。 |
家族にお礼 | いつも、毎日ありがとう。先週、ねつが出たときに、夜おそくまでかんびょうしてくれて、本当に助かりました。おかげで、早く元気になれました。これからもよろしくおねがいします。 |
お世話になった大人にお礼 | いつもお世話になっております。先日のもちつき大会では、もちのつき方を教えてくださり、ありがとうございました。じょうずにつけて、とてもうれしかったです。また、いろいろ教えてください。 |
見本を使うときは、本文のところを自分のじっさいの思い出に書きかえるのが大じです。「ありがとうございました」だけだと、ほかの人と同じ手紙になってしまいます。
「あの時、こんなことが心にのこった」という、自分だけの一文を入れると、受け取る人にとって、あなたからの手紙だと分かるあたたかい手紙になります。書き終えたら、声に出して読みかえして、読みづらいところがないかかくにんしましょう。
迷ったときの三つのチェック
手紙を書き終えたら、ふうとうに入れる前に、つぎの三つだけ見直してみてください。三つとも大じょうぶなら、自しんを持って出せる手紙です。
- お礼の中身が「具体的」になっているか。何にお礼を言っているか、はっきり書いてあるかどうか
- 自分の気持ちが、自分の言葉で書かれているか。借りてきたような言いまわしになっていないか
- あて名と自分の名前が、ていねいな字で書かれているか
できあがった手紙を先生にわたす時は、すこしどきどきするかもしれません。けれども、何日かたって、相手の方から「みんなの手紙、とてもうれしかったです」とお返事がとどくと、クラス中が大よろこびするものです。
お礼の手紙は、書く人と受け取る人の両方の心を、しずかにあたためてくれます。だれかにお礼を伝えたい気持ちが生まれたら、ぜひ一通、手紙を書いてみてください。
