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送りがなのつけ方のルールと迷いやすい例

送りがなのつけ方を、活用する語と活用しない語の見分け方でやさしく整理します。「動かす」「動く」「動き」など、漢字テストで迷いやすい言葉のれいでルールを確かめられます。
目次
漢字テストで、「動かす」と書くところを「動す」と書いて×がついた。そんな経験はないでしょうか。意味は伝わるはずなのに、なぜまちがいになるのか、最初はなかなか分かりません。漢字のあとにつくひらがな、つまり「送りがな」は、つけ方にちょっとしたきまりがあります。きまりを知らないままだと、同じ漢字を書くたびに、毎回ちがう長さで書いてしまい、何度もまちがいをくり返してしまうのです。
「動く」「動かす」「動かない」は、同じ「動」の字でも、後ろにつくひらがなの長さがそれぞれちがいます。これには、ちゃんとした目じるしがあります。目じるしを一度つかんでしまえば、はじめて見る言葉でも、送りがながどこまでかが分かるようになります。この記事では、送りがながあるわけ、動きを表す言葉のルール、ようすを表す言葉のルール、まちがえやすい言葉、自分で練習するコツまでを順に見ていきます。
送りがなって何のためにあるの
送りがなは、漢字の後ろにつけるひらがなのことです。同じ漢字でも、意味や使い方がちがうときに、送りがなで言いかえます。「動く」「動かす」「動ける」は、漢字は同じでも、表しているはたらきが少しずつちがいます。送りがなは、その「ちがい」を読む人に正しく伝えるための小さな案内ふだのようなものです。これがないと、漢字だけ見て読み方がわからなかったり、意味のとりちがえが起きたりします。
日本では、内かく告示で「送り仮名の付け方」というめやすが決められています。一九七三年に告示され、一九八一年と二〇一〇年に少し直されたものです。学校で習う送りがなのルールも、これがもとになっています。むずかしい話に聞こえますが、覚える中心は「動きを表す言葉」と「ようすを表す言葉」の二つだけ。基本のかたちさえつかめば、はじめて見る言葉でも見当がつくようになります。
動きを表す言葉のルール
「動く」「走る」「読む」のように、人やものの動きを表す言葉を、動詞といいます。動詞の送りがなには、大きな目じるしがあります。それは、「言い切りの形」をもとに考えることです。言い切りの形とは、「うごく」「はしる」「よむ」のように、文の終わりにそのまま使える形のことです。この最後の音にあたるひらがなが、漢字の後ろの送りがなのスタートになります。
たとえば「動く(うごく)」のときは、「う」の音は「動」という漢字でうけもち、「く」が送りがなになります。これが「動かす(うごかす)」になると、漢字の音は同じ「うご」のままで、後ろに「かす」がつきます。同じように「動かない」なら「かない」、「動こう」なら「こう」が後ろにつきます。形が変わった部分は、ぜんぶ送りがなとして書き表す。これが動詞の送りがなの大きな考え方です。
動詞の活用と送りがなの関係
言い切り | 使い方の例 | 送りがなのかたち |
|---|---|---|
動く | 車が動く | く |
動かす | 車を動かす | かす |
動かない | 車が動かない | かない |
書く | 名前を書く | く |
書ける | うまく書ける | ける |
読む | 本を読む | む |
読まない | まだ読まない | まない |
たくみくんが「動す」と書いてしまったのは、「動かす」のうちの「か」を入れわすれたためでした。同じ漢字「動」を使っていても、「動く」と「動かす」は形がちがう動詞です。形が変わったぶんは、すべてひらがなで書きあらわす。このきまりを覚えておけば、たくみくんはもう同じまちがいをくり返しません。
ようすを表す言葉のルール
ようすや気もちを表す言葉も、送りがながつきます。「明るい」「楽しい」「うれしい」のように、最後が「い」で終わる言葉を、形容詞といいます。形容詞の送りがなも、考え方は動詞と同じです。言い切りの形を見て、形が変わるところを送りがなで書きます。「明るい」なら「るい」、「明るむ」なら「るむ」、「明らか」なら「らか」というふうにです。
小学校で出てくる形容詞には、形が同じところと、ちがうところがあります。たとえば、「楽しい」「楽しむ」「楽しさ」は、最初の「楽」は同じですが、後ろのひらがながぜんぶ少しずつちがいます。あわてて漢字だけで書いてしまうと、意味の取りちがえが起きやすくなります。形容詞は、後ろの「い」までを送りがなにふくめるのが基本です。
形容詞・形容動詞の例
言い切り | 使い方の例 | 送りがなのかたち |
|---|---|---|
明るい | 部屋が明るい | るい |
明らか | 答えが明らかになる | らか |
楽しい | 休み時間は楽しい | しい |
楽しむ | 休みを楽しむ | しむ |
新しい | 新しいくつをはく | しい |
正しい | 答えは正しい | しい |
正す | まちがいを正す | す |
迷いやすい言葉を例で確かめる
送りがなには、とくに迷いやすい言葉がいくつかあります。たくみくんがテストで間ちがえたのも、その中の一つでした。下の表は、小学校で出会うことが多い、まちがえやすい送りがなを集めたものです。ノートのはしに書きうつしておくと、宿題のときにすぐにたしかめることができます。
正しい書き方 | まちがえやすい例 | 気をつける点 |
|---|---|---|
動かす | 動す | 「か」をわすれない |
行う | 行 | 「う」を送るのをわすれない |
行く | 行いく | 「く」だけで足りる |
表す | 表わす | 「す」だけで足りる |
短い | 短かい | 「い」だけで足りる |
冷たい | 冷い | 「た」をわすれない |
味わう | 味う | 「わ」をわすれない |
幸せ | 幸わせ | 「わ」はつけない |
「行う」と「行く」は、どちらも「行」の字を使いますが、送りがながちがいます。「行う」は何かをするという意味で、後ろに「う」だけがつきます。「行く」は場所をうつるという意味で、後ろに「く」だけがつきます。意味と読み方をセットで考えると、まちがえにくくなります。声に出して読んで、しっくりくる形をえらぶのもよい方法です。
迷ったときのチェック
- 言い切りの形に直して読んでみる
- 形が変わったところは、すべてひらがなで書く
- 「い」で終わる言葉は、「い」までを送りがなに入れる
- 迷ったら国語辞典で見出し語をたしかめる
- 同じ漢字をつかうほかの言葉とくらべる
コピペで使える送りがな迷いやすい言葉リスト
送りがなで迷いやすい言葉を、十二語えらんで一つの表にまとめました。テスト前にざっと見直すだけで、よくあるまちがいをぐっとへらすことができます。読み方を声に出してたしかめながら、書く形を目でおぼえていってください。よくある誤りの形は、自分が書いていないか、ふだんのノートとくらべて見るのがおすすめです。
正しい書き方 | 読み | よくある誤り |
|---|---|---|
動かす | うごかす | 動す |
表す | あらわす | 表わす |
行う | おこなう | 行なう / 行 |
短い | みじかい | 短かい |
冷たい | つめたい | 冷い |
味わう | あじわう | 味う |
幸せ | しあわせ | 幸わせ |
必ず | かならず | 必らず |
少ない | すくない | 少い |
受ける | うける | 受る |
起きる | おきる | 起る |
考える | かんがえる | 考る |
細かい | こまかい | 細い |
育てる | そだてる | 育る |
「表す」は「あらわす」と読みますが、「表わす」と書いてしまいがちです。「行う」は「おこなう」、「行く」は「いく」と、同じ「行」でも送りがながちがう代表的な例です。「短かい」「冷い」のように、よけいなひらがなを足したり、足りなかったりするまちがいも多くあります。一語ずつ、声に出して読んで、書く形をたしかめてください。
自分で書いて練習してみる
ルールを読むだけでは、なかなか体になじみません。そこで、たくみくんは「動」を使った文を、まいにち一つずつノートに書くことにしました。「車が動く」「弟がおもちゃを動かす」「ねこは動かない」というふうに、形をすこしずつ変えて書いていきます。書くたびに、漢字の後ろのひらがなが少しずつちがうことに気づきます。手を動かして書くと、目で読むだけよりずっとよく身につきます。
「やってみよう」として、一週間で一つの漢字を集中して練習するのもおすすめです。月曜は「動」、火曜は「明」、水曜は「楽」というふうに、一日一文字を決めて、その字を使った言葉を五つずつ書いてみます。書きためたノートを週末に見直すと、同じ漢字でも形がいろいろあることに気づくはずです。送りがなは、つかえばつかうほど、自然に手がおぼえてくれます。
よくある疑問
教科書と本で送りがながちがうことがある。
古い本や、特別な書き方をしている本では、いまの決まりとちがう送りがながつかわれることがあります。学校では、いまの教科書の書き方にあわせれば大丈夫です。
全部ひらがなで書いてもいいのか。
書いてもまちがいではありません。ただ、漢字をならったあとは、漢字と送りがなを正しく組み合わせて書くと、読む人にとって読みやすくなります。
漢字辞典には送りがながのっているか。
のっています。見出し語の下に「動・かす」のように点で区切って書かれていることが多いです。点のあとが送りがなです。
送りがなは、漢字の意味を案内する小さなしるし
たくみくんは、その週末に、もう一度漢字テストの直しをしました。「動す」と書いてしまったところを「動かす」と書きかえ、よこに自分の言葉で「うごかすときは、かをわすれない」とメモを足します。次のテストで同じ問題が出たとき、たくみくんは少しもまよわず、正しい送りがなを書くことができました。小さなしるしを正しく置けると、漢字の意味がよりはっきりと伝わります。
送りがなは、おぼえるものというより、読みなれていくものです。教科書や本を声に出して読むと、自然と耳がリズムをおぼえてくれます。送りがなで迷ったときは、国語辞典の引き方 や 漢字ノートの作り方 も読んでみてください。書き方を一つひとつ手でたしかめていくと、いつのまにか、まちがいの数がへっていきます。
