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中学校で起きがちな二重敬語の例と直し方の手順

中学生がやりがちな二重敬語の見分け方と直し方を整理します。「お読みになられる」「ご覧になられる」「お越しになられる」など、保護者会のお知らせや先生宛のメールで迷う言いまわしを例で確認できます。
目次
「保護者の皆さまには事前にお読みになられるよう…」。生徒会のお知らせ文や先生宛のメールを書いていて、こんな表現を書きかけては止まる、書き直しては消す、という経験はないでしょうか。「お読みになられる」はなんだか敬語がふくらみすぎている気がするのに、どこをどう直せば自然な形になるのかが分からない。ていねいに書こうとするほど形が重くなり、便箋の余白だけが増えていく。中学校で文章を書く場面が増えると、誰もが一度はぶつかる悩みです。
答えは「敬語は二段重ねにしない、一段だけでいい」というシンプルな原則にあります。「お読みになられる」は「お読みになる」だけで十分な尊敬語、「拝見させていただく」は「拝見する」だけで十分な謙譲語で、形が長いほど敬意が高いわけではありません。この記事では、二重敬語とは何か、なぜ重ねてしまうのか、よくある例と一段だけにする直し方、先生・先輩宛の文章でのチェック手順までを、中学生が出会う場面に沿って整理していきます。
結論:同じ種類の敬語が2つ重なったら片方をはずす
- 二重敬語は同じ種類の敬語を二度重ねた言い方で、形が長いほど敬意が高いわけではありません。
- 直し方は、種類の同じ敬語が2つあったら片方をはずすだけです。一段だけで十分に伝わります。
- 迷ったら「お〜になる」などの型を残し、「〜られる」「〜させていただく」のほうを落とします。
- 直したあとは一度声に出して読み返し、つまずかず息継ぎが自然にできるかを確かめます。
二重敬語とは
二重敬語とは、ひとつの動詞に対して同じ種類の敬語を二度重ねてしまった言い方のことです。たとえば「読む」を尊敬語に直すなら、「お読みになる」か「読まれる」のどちらか一方を使えば十分なのに、両方を合体させて「お読みになられる」と言ってしまうと、敬意がふくらみすぎて不自然になります。謙譲語でも同じことが起きます。「拝見する」だけで「自分の動作をへりくだって見る」という意味なのに、そこへさらに「させていただく」を重ねると、自分を下げる気持ちが過剰になり、相手にとってはどこかぎこちなく聞こえます。
二重敬語と「敬語連結」の違い
注意したいのは、敬語をふたつ続けて使っていても、それぞれが別の動詞を担っている場合は、二重敬語にはあたりません。「読んでくださる」「教えてくださる」「来てくださる」のような形は、メインの動詞(読む・教える・来る)はそのままで、後ろの「くださる」が「〜してくれる」の尊敬語になっているだけです。「ご覧になってください」「お読みになってください」も、ひとつの動詞に対して尊敬語の形は一段だけ重ねているので、二重敬語ではありません。
よく見る二重敬語の例
中学校の生活でよく登場する二重敬語を、保護者会のお知らせ文を例に拾ってみます。書いた本人はていねいに書いたつもりでも、読む側からは「気持ちはわかるけれど、ちょっと過剰だな」と感じられる言い回しです。
二重敬語の例 | 元の動詞 | 何が重なっているか |
|---|---|---|
お読みになられる | 読む | 「お〜になる」と「〜られる」の尊敬語2つ |
ご覧になられる | 見る | 「ご覧になる」と「〜られる」の尊敬語2つ |
お話しになられる | 話す | 「お〜になる」と「〜られる」の尊敬語2つ |
拝見させていただく | 見る | 「拝見する」と「〜させていただく」の謙譲語2つ |
お伺いさせていただく | 行く・聞く | 「うかがう」と「お〜する」と「〜させていただく」の重なり |
お申し上げいたします | 言う | 「申し上げる」と「いたす」の謙譲語2つ |
「させていただく」の重ねすぎに注意
近ごろよく耳にする「させていただく」は、便利な分だけ重ねすぎが起きやすい言い回しです。「お伺いさせていただきます」「拝見させていただきました」「ご報告させていただきます」は、どれも形のうえでは謙譲語が2つ以上重なっています。お知らせ文に書きがちな「ご出席させていただきますよう、お願い申し上げます」も同じで、ここは「ご出席ください」と言いきってしまうほうが、読み手にはむしろていねいに伝わります。
なぜ重ねてしまうのか
二重敬語が生まれる背景には、ふたつの心理があります。ひとつは「もっとていねいにしたい」という気持ち。先生・保護者・地域の方など、相手が大切な人であるほど、言い方を強くして敬意を伝えたくなります。もうひとつは「自信のなさ」です。ふつうの尊敬語が頭にうかんだあとで、「これだけで本当に足りているだろうか」と不安になり、もう一段の敬語を上乗せしてしまうのです。
けれども、敬語は「重ねた回数」ではなく、「相手と自分の関係を正しく言葉の形にしているか」で決まります。むしろ重ねすぎた敬語は、形がふくらんで意味がぼやけ、書き手の自信のなさが透けて見えてしまうことすらあります。「お読みになられる」も、「ていねいに伝えたい」というやさしい気持ちから出てくる言葉ですが、結果としては読み手の負担を増やしてしまうことがあるのです。
「強く言いたい」気持ちは別の言葉でも伝えられる
敬意を強く伝えたい場面では、敬語の形を重ねるかわりに、お願いの言葉を添える方法があります。「お読みください」だけより、「お忙しいところ恐れ入りますが、お読みいただけますと幸いです」と書くほうが、相手にやわらかく届きます。形を重ねるのではなく、前後の言い回しでていねいさを補うイメージです。
一段だけにする直し方
二重敬語を直すコツは、「種類の同じ敬語が2つあったら、片方をはずす」というだけです。直すときに、どちらをはずせばいいかで迷ったら、「お〜になる/ご〜になる」のような型の言い方を残し、「〜られる」のほうを落とすと、形がすっきりします。下の表は、お知らせ文を書き直した例です。
元の文(二重敬語) | 直したあと | 直したポイント |
|---|---|---|
お読みになられてください | お読みください | 尊敬語の重なりをほどき、依頼の形に |
ご覧になられましたでしょうか | ご覧になりましたか | 「ご覧になる」だけで尊敬語として十分 |
お話しになられた内容 | お話しになった内容 | 「お〜になる」を残し「〜られる」をはずす |
拝見させていただきました | 拝見しました | 謙譲語の重なりをほどき、シンプルに |
お伺いさせていただきます | うかがいます | 「うかがう」一語で十分 |
ご報告させていただきます | ご報告いたします | 「ご〜する」型の謙譲語に置きかえる |
直したあとの文を声に出してみる
直したあとは、必ず一度声に出して読み返します。耳で聞いたときにつまらず、息継ぎが自然にできるかどうかで、敬語の長さがちょうどよいかが分かります。読点のところで一呼吸おけて、最後まで一息で読み切れるなら、長さはちょうどよい合図です。途中で何度も息が切れる文は、敬語がふくらみすぎているサインなので、重なっている一語をはずします。
先生・先輩宛の文章での確認
ここからは、保護者会のお知らせ文・部活の引退試合の応援メッセージ・先生への質問メールを例に、ひとつずつ二重敬語を直す手順を見ていきます。「型がふたつ重なっていないか」を確認するだけで、形がぐっと整います。
まずは保護者会のお知らせ文。元の下書きにあった「保護者の皆さまには事前にお読みになられるよう、お願い申し上げます」は、「保護者の皆さまには事前にお読みくださいますよう、お願い申し上げます」に直します。「お読みになる」と「〜られる」を重ねず、「お読みくださる」という尊敬語のかたちひとつにまとめた言い方です。
- 部活の引退試合の応援メッセージ:(元)先輩、3年間の練習を拝見させていただきました。(直し)先輩、3年間の練習を拝見しました。
- 先生への質問メール:(元)先生にお伺いさせていただきたいことがあります。(直し)先生にうかがいたいことがあります。
- お礼の言葉:(元)先日はおっしゃられたとおりに進めました。(直し)先日はおっしゃったとおりに進めました。
- 面談のあいさつ:(元)本日はお越しになられて、ありがとうございました。(直し)本日はお越しいただき、ありがとうございました。
- 遅刻の連絡:(元)電車が遅れて、お伺いさせていただくのが遅れます。(直し)電車が遅れて、登校が少しおくれます。
やりがちなまちがいと直し方
ここまで読んでも、最初のうちはどうしても二重敬語を書いてしまいます。書いた本人には、自分の文章の「敬語のふくらみ」がなかなか見えないものです。次の表は、中学生がとくに書きがちなまちがいだけを抜き出したものです。
まちがい | 何がまずいか | 直し方 |
|---|---|---|
お読みになられる | 尊敬語が2つ重なっている | お読みになる、または読まれる |
ご覧になられる | 尊敬語が2つ重なっている | ご覧になる |
拝見させていただく | 謙譲語が2つ重なっている | 拝見する |
お伺いさせていただく | 「うかがう」だけで十分 | うかがう |
おっしゃられる | おっしゃる+れる | おっしゃる |
ご乗車されますお客様 | ご乗車になる+れる | ご乗車のお客様 |
送る前のチェック手順
メール・お知らせ文・スピーチ原稿などを送る前に、二重敬語が残っていないかを点検する短い手順を決めておくと、書き直しの時間がぐっと短くなります。このチェックを習慣にすると、生徒会の文章を書くスピードも上がっていきます。
尊敬語と謙譲語にあたる言葉を、文中でしるしをつけて拾い出す。
同じ動詞に対して敬語の形が2つ重なっていないかを見る。
重なっていたら、「型」を残して「〜られる」「〜させていただく」をはずす。
直した文を声に出して読み、つまずく場所がないか確認する。
もし不安が残るときは、ふつうの丁寧語(〜です/〜ます)にとどめる。
二重敬語の直し方サンプル集
メールやお知らせ文を書いていて、形が長く感じたときに机の横に置いておけるよう、よく出てくる二重敬語の直し方を一覧にまとめました。左の列に「ついやってしまうNG表現」、まん中に「どこがふくらんでいるか」、右に「自然な直し方」を並べてあります。表のままコピーして自分の下書きと見比べると、どの一語をはずせばよいかが見つかりやすくなります。
NG例 | 問題点 | 改善例 |
|---|---|---|
お読みになられる | 「お〜になる」と「〜られる」の尊敬語が重なっている | お読みになる |
ご覧になられる | 「ご覧になる」と「〜られる」の尊敬語が重なっている | ご覧になる |
お話しになられる | 「お〜になる」と「〜られる」の尊敬語が重なっている | お話しになる |
おっしゃられる | 「おっしゃる」と「〜られる」の尊敬語が重なっている | おっしゃる |
お越しになられる | 「お越しになる」と「〜られる」の尊敬語が重なっている | お越しになる |
拝見させていただきました | 「拝見する」と「〜させていただく」の謙譲語が重なっている | 拝見しました |
お伺いさせていただきます | 「うかがう」「お〜する」「〜させていただく」が三重に重なっている | うかがいます |
ご報告させていただきます | 「ご〜する」と「〜させていただく」の謙譲語が重なっている | ご報告いたします |
ご乗車されますお客様 | 「ご乗車になる」と「〜される」の尊敬語が重なっている | ご乗車のお客様 |
お申し上げいたします | 「申し上げる」と「いたす」の謙譲語が重なっている | 申し上げます |
よくある疑問
「お話しいたします」は二重敬語ですか。
「お話しする」と「いたす」はどちらも謙譲語にあたるため、形のうえでは二重敬語ですが、現代では定着した言い回しとして広く使われています。気になる場合は「お話しします」「ご説明します」と言いかえれば十分です。
友達同士の会話でも二重敬語に気をつけるべきですか。
友達との会話では、敬語そのものをほとんど使わないので、二重敬語を心配する場面はほぼありません。気をつけるのは、先生・先輩・大人と話すときや、文章を書くときです。
「させていただく」を全部使わないほうがいいですか。
「相手の許しを得て、自分のためにする」という意味がはっきりしている場面では使ってかまいません。たとえば「お休みをいただかせていただきます」は重ねすぎですが、「お休みをいただきます」は自然な言い方です。
お祝いの手紙でも二重敬語は避けるべきですか。
お祝いごとはていねいに書きたい場面ですが、「ご結婚されました」より「ご結婚なさいました」のほうが、形がすっきりして読みやすく、敬意もしっかり伝わります。
「一段だけ」のものさしが、形を整えていく
「お読みになられる」には、「もっとていねいにしたい」という気持ちがふくらんでいるだけで、敬語の知識が足りないわけではありません。「一段だけでいい」というものさしは、これから書くことになる多くの文章をやさしく整えてくれます。
明日からの一手は、自分が書いた文章を一度声に出して読み、「形が長すぎる」と感じた場所だけ、敬語の片方をはずしてみることです。直す前に敬語の基本3分類 を一度読み返しておくと、どの形をはずしてどの形を残すかの判断がぐっと楽になります。一段だけにそろえた文章は、読み手の負担が軽くなり、敬意もまっすぐに伝わるようになります。
