慣用句の「身につまされる」「気が置けない」など意味を取り違えやすい10選

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字面と本来の意味がずれている代表的な慣用句10個を、誤用例と正しい使い方で整理します。「身につまされる」「気が置けない」「役不足」など、テストでも作文でも迷いやすい言葉を見直せます。

目次

  1. 結論:慣用句は字面で推測せず、本来の意味を辞書で確かめて覚える
  2. 慣用句で意味を取り違える理由
  3. 誤用が広がっても「本来の意味」を覚える理由
  4. 「身につまされる」「気が置けない」の本来の意味
  5. 「身につまされる」は他人の不幸に共感すること
  6. 「気が置けない」は気を遣わずにつき合えること
  7. 「役不足」「流れにさおさす」など立場・流れの慣用句
  8. 「役不足」を使うときの判断基準
  9. 「情けは人の為ならず」の「ならず」の解釈
  10. 「煮詰まる」「確信犯」など現代で揺れる慣用句
  11. 「煮詰まる」は本来「結論に近づく」
  12. 「確信犯」は本来「信念に基づく行為」
  13. 自分の作文で安全に使う手順
  14. 作文で使える慣用句の例文一覧
  15. よくある疑問
  16. 振り返り

「身につまされる」と聞いて、どんな場面を思い浮かべるでしょうか。漢字の印象から「自分の身が引きしまるくらい強く感動した」という意味だと受け取った経験はないでしょうか。実は本来の意味はそれとは違い、他人の不幸を自分のことのように感じて切なくなる、という共感の表現です。テストの選択肢で取り違えてしまい、家に帰ってから本来の意味を知って戸惑った、というつまずきは中学校で珍しくありません。慣用句には、字面や音の印象に引きずられて本来とは逆の意味で覚えてしまう落とし穴が、いくつも潜んでいるのです。

「気が置けない人」を「気を許せない人」と取り違える、「役不足」を「力不足」のつもりで使う。こうした取り違えは、漢字や音の印象から意味を推測したときに起きやすくなります。慣用句は短くて便利な反面、本来の意味と誤りやすい意味が紙一重で並んでいる表現でもあります。今回は、中学校で出会いやすい10個の慣用句を取り上げ、本来の意味と誤りやすい意味を並べて整理していきます。作文やテストで自信を持って使えるよう、誤用例と正しい使い方を一つずつ見ていきましょう。

結論:慣用句は字面で推測せず、本来の意味を辞書で確かめて覚える

  • 慣用句は字面や音の印象から意味を推測すると、本来とは逆の意味で覚えてしまう落とし穴があります。
  • 「身につまされる」「気が置けない」「役不足」などは、本来の意味と誤りやすい意味が紙一重で並んでいます。
  • テストや入試・新聞では本来の意味で出題・使用されるのが基本なので、まず本来の意味を覚えておきます。
  • 作文で使うときは、辞書で意味を確かめ、ポジティブかネガティブかの文脈を確認してから入れると事故を防げます。

慣用句で意味を取り違える理由

慣用句とは、二つ以上の言葉が結びついて、文字どおりの意味とは別の特定の意味を表す言いまわしのことです。「手を焼く」を「手を加熱する」と読まないのと同じで、字面のままでは意味が通りません。中学生が取り違えやすいのは、知らない慣用句に出会ったとき、頭の中で漢字や音から意味を推測してしまうからです。例えば「身につまされる」の「つまされる」を「身が引きしまる」と関連づけてしまうと、本来とは違う方向に意味を組み立ててしまいます。

もう一つの理由は、テレビ・SNS・友だちの会話などで、本来とは違う使い方を耳にしているうちに、その用法を覚えてしまうことです。文化庁の「国語に関する世論調査」でも、本来の意味で使う人より、誤った意味で使う人の方が多くなった慣用句が複数あると報告されています。自分の聞き覚えだけを頼りにすると、いつのまにか誤用が固定化されてしまうわけです。だからこそ、辞書や教科書で本来の意味を一度確認し、ノートに整理しておく作業に意味があります。

誤用が広がっても「本来の意味」を覚える理由

「みんな使っているなら、それが正しい意味でいいのでは」と思う人もいるかもしれません。日常会話では誤用とされている方が通じる場面もあります。しかし、入試の国語や教科書の本文では、本来の意味で出題されるのが基本です。新聞や公的な文書も同様で、本来の意味で書かれることがほとんどです。テストや作文で安全に運用するためには、まず本来の意味を覚えておき、そのうえで「日常では別の意味でも使われる」と知っておく順番が一番役に立ちます。

「身につまされる」「気が置けない」の本来の意味

まずは、中学生のテストでも作文でもつまずきやすい二つを丁寧に見ていきましょう。どちらも漢字の印象から逆の意味に取られがちな代表例です。

「身につまされる」は他人の不幸に共感すること

「身につまされる」とは、他人の不幸や悲しみを聞いて、自分のことのように感じて切なくなる、という意味です。「祖父の入院の話を聞いて、身につまされる思いがした」という文は、相手の苦しみが自分のことのように胸に迫ってきた、という共感の場面で使います。「身が引きしまる」や「強く感動する」とは別の語ですので、ポジティブな場面で使うと違和感が出ます。「合格発表を見て、身につまされる思いがした」のような使い方はしないと覚えておきましょう。

「気が置けない」は気を遣わずにつき合えること

「気が置けない」とは、相手に対して気を遣う必要がない、つまり打ち解けて自然に話せるという意味です。「気を許せない」「油断ならない」という意味ではありません。「気が置けない友人」は「親しい友人」のこと。本来とは反対の意味で取り違える人が多い慣用句の代表で、文化庁の調査でも誤用が多いと報告されています。テストで「気が置けない仲間と旅行に出かけた」という文を読んだら、「親しい仲間と旅行した」と読み替えると正解にたどり着けます。

「役不足」「流れにさおさす」など立場・流れの慣用句

次は、立場や状況の流れにかかわる慣用句です。漢字の印象に引きずられると意味が逆転しやすい四つを並べます。

慣用句

本来の意味

誤りやすい意味

役不足

与えられた役目が、その人の力量に対して軽すぎること

自分の力が足りず役目を果たせないこと

流れにさおさす

時流や流れに乗って勢いを増すこと

流れに逆らって妨げること

情けは人の為ならず

人にかけた情けは巡って自分に返ってくる

情けをかけるとその人のためにならない

「役不足」を使うときの判断基準

「役不足」は、本来は「役目の方が軽すぎる」という意味です。「私には役不足です」と謙遜のつもりで言うと、「私の力量に対して役目が軽すぎます」という意味になり、結果として自分を誇る発言になってしまいます。自分の力量不足を表したいときは「私には荷が重すぎます」「力不足です」と言いかえるのが安全です。学級委員に推薦されたときの返答などで実際に使うと、誤用との差がはっきり出る慣用句ですので、中学校のホームルームでも気をつけたい一つです。

「情けは人の為ならず」の「ならず」の解釈

「情けは人の為ならず」は、「情けをかけるのはその人のためにならない」と読まれがちですが、本来は逆の意味です。「ならず」は「〜のためになるのではない」ではなく「〜のためだけではない」という古い言い方で、「情けをかけることは、相手のためだけではなく、巡り巡って自分のためにもなる」というのが本来の解釈です。道徳の授業や読書感想文で出てきたとき、文脈とずれて感じたら、まずこの本来の意味を当てはめて読み直すと、文章全体の趣旨がつながります。

「煮詰まる」「確信犯」など現代で揺れる慣用句

ここからは、本来の意味と現代の用法のあいだで揺れている慣用句です。誤用とされてきた用法が、近年では辞書にも併記されるようになってきたグループでもあります。

慣用句

本来の意味

近年広がっている用法

煮詰まる

議論や検討が十分に進んで結論に近づく

議論が行きづまって進まなくなる

確信犯

道徳的・宗教的な信念に基づいて行う行為

悪いと知っていながらあえて行う行為

砂をかむよう

味気なく、空虚で何の感慨もないようす

悔しさをかみしめるようす

御の字

たいへんありがたく、十分満足できること

一応許せる範囲、まあまあであること

失笑する

こらえきれず吹き出して笑ってしまう

あきれて、笑う気持ちも起きないこと

「煮詰まる」は本来「結論に近づく」

「煮詰まる」は、料理の煮汁が煮詰まって味が決まる、というイメージから、本来は「議論や検討が十分に進んで結論に近づく」という意味で使われてきました。一方で近年は「議論が行き詰まる」という意味で使う人も増え、文化庁の調査でも両方の用法が拮抗しています。テストや評論文では本来の意味で出題されることが多いので、まずは「結論に近づく」と覚え、会話で「行きづまる」の意味で耳にしたときには文脈で読み分ける、という二段構えが安全でしょう。

「確信犯」は本来「信念に基づく行為」

「確信犯」は、もともと法律や倫理の文脈で、自分の道徳的・宗教的な信念に基づいて行われる犯罪行為を指す言葉でした。日常会話では「悪いと知っていながらやる人」の意味で使われる場面が増え、辞書にも併記されつつあります。論説文や評論文では本来の意味で出てくる場合が多いので、テスト対策としては本来の意味を優先して覚えるのが現実的です。作文で自分から使うときは、誤解を避けるため別の表現に言いかえるのも一つの方法です。

自分の作文で安全に使う手順

慣用句は、作文や感想文で「ここぞ」というときに使うと文章が引きしまります。一方で、本来の意味を外して使ってしまうと、読み手に違和感を残してしまうのも事実です。自分で慣用句を選んで使うときには、次の3ステップを通すと事故を防げます。

  1. ステップ1: 国語辞典または教科書で本来の意味を確認する。意味が二つ載っている場合は、最初に載っている方を作文では優先する。
  2. ステップ2: その慣用句が「ポジティブな文脈」「ネガティブな文脈」のどちらで使う言葉かを意識する。「身につまされる」をうれしい場面に使わない、といった判断はここで決まる。
  3. ステップ3: 作文の下書きを書いたあと、その慣用句を別の普通の表現に置きかえても文意が通るかを確認する。文意がずれるなら、本来の意味からずれている可能性が高い。

次は、ここまで整理した内容を実際の作文やスピーチで使えるよう、そのままコピーして調整できる形でまとめておきます。慣用句を作文に入れたいときに、意味のずれを心配せずに使える例文集です。固有名詞や場面は自分の経験に合わせて差しかえてください。

作文で使える慣用句の例文一覧

慣用句(意味)

例文

身につまされる(他人の不幸に共感する)

祖父の入院の話を母から聞いて、身につまされる思いがした。

気が置けない(気を遣わず打ち解けて話せる)

部活を引退してからも、気が置けない仲間と毎週図書館に集まって勉強している。

役不足(役目が軽すぎる)

部長を経験した先輩にとって、副キャプテンの仕事は役不足だったのかもしれない。

情けは人の為ならず(情けは巡って自分に返る)

道に迷っていた一年生を案内したあと、情けは人の為ならずという言葉の意味が少し分かった気がした。

流れにさおさす(流れに乗って勢いを増す)

文化祭の盛り上がりに流れにさおさす形で、後夜祭の準備にも全力で取り組んだ。

煮詰まる(議論が結論に近づく)

話し合いが煮詰まってきた頃、ようやくクラスの出し物が一つに決まった。

失笑する(こらえきれず吹き出す)

友人の真剣な顔とずれた答えのちぐはぐさに、思わず失笑してしまった。

よくある疑問

慣用句とことわざはどう違いますか。

慣用句は二つ以上の語が結びついて特定の意味を表す言いまわし、ことわざは生活の知恵や教訓を短い文で表したものです。境界が重なる表現もあります。

誤用の方が通じる場合は、どちらを使えばよいですか。

テストや作文では本来の意味を優先します。日常会話では相手に通じる用法を選んでも問題ありませんが、自分が本来の意味を知っていることが前提です。

慣用句を覚えるには、どんな方法がありますか。

教科書に出てきたものをノートに「本来の意味・誤用例・例文」の3点セットで書き出し、月に一度見直す方法が効果的です。

振り返り

「身につまされる」も「気が置けない」も、つまずきの原因は同じです。どちらも字面や音の印象に引きずられて、本来とは違う方向に意味を組み立ててしまうために起こります。慣用句は短くて便利な分、本来の意味と誤りやすい意味が紙一重で並んでいます。10個すべてを一度に覚える必要はありません。まずは今日紹介した中で、自分が一番ぎくっとしたものを3つだけノートに書き出し、来週の作文で一つ使ってみるところから始めてみてください。