中学生の語彙を増やす方法と漢語・和語・抽象語の置きかえメモの作り方

中学生の語彙を増やす方法と漢語・和語・抽象語の置きかえメモの作り方の記事を表すモノクロ漫画風イラスト

中学生の語彙力を増やすコツを、漢語・和語・抽象語の3つの置きかえメモで整理します。感想文で「すごい」「やばい」に頼らず、自分の気持ちを細かく表す言葉を増やす手順を確認できます。

目次

  1. 結論:いつもの言葉のとなりに言いかえを3つ書きとめて増やす
  2. 語彙が増えないときに足りていないこと
  3. 「読めばいい」を「書きとめればいい」に変える
  4. 漢語・和語・外来語の三層を意識する
  5. 3層を混ぜる感覚を体に入れる
  6. 抽象語を具体語に、具体語を抽象語に置きかえる
  7. 置きかえメモの書き方
  8. 読書や教科書で出会った言葉のメモの取り方
  9. 増やすペースは1日3語まで
  10. 作文・発表で語彙を実際に使う場面の作り方
  11. コピペで使える言い換え語彙集
  12. 失敗集。語彙ノートで遠回りした場面
  13. 迷ったときの判断手順
  14. よくある疑問
  15. 言葉を増やす作業は袋の数を増やす作業

読書感想文の下書きを書き始めたら、原稿用紙に「すごかった」「やばかった」「感動した」の三語ばかりが並んでしまった、という経験はないでしょうか。本の中身はとても良かったのに、書き出された文章は感想文というよりリアクションの羅列で、自分でも物足りなさを感じてしまう状態です。参考書を開いても「たくさん本を読みましょう」と書いてあるだけで、明日から具体的に何をすればよいのかは、なかなか見えてきません。

語彙が増えないとき、足りていないのは「言葉の数」そのものより、「自分が使う言葉と新しい言葉を結びつける作業」です。読むだけでなく「自分が普段使っている言葉の言いかえを3つ書きとめる」という形でメモを作ると、語彙は少しずつ自分のものとして使えるようになります。この記事では、漢語・和語・外来語の三層の整理、抽象語と具体語の置きかえ、読書や教科書で出会った語のメモの作り方、作文や会話で実際に使う場面の作り方までを、段階的に解説します。

結論:いつもの言葉のとなりに言いかえを3つ書きとめて増やす

  • 語彙は読むだけでなく、自分が使う言葉の言いかえを書きとめる作業を入れると使えるようになります。
  • 漢語・和語・外来語の三層をバランスよく混ぜると、同じ感想でも文章の印象が単調になりません。
  • 抽象語と具体語を往復させ、語と意味と例文の三点セットでメモを作ると定着しやすくなります。
  • 増やすペースは1日3語までにしぼり、日記や作文や会話で実際に使う場面を自分から作ります。

語彙が増えないときに足りていないこと

語彙が増えないと感じるとき、足りていないのは「言葉の数」ではなく、「自分の中の言葉と新しい言葉を結びつける作業」です。本を読んでも語彙が増えないと感じる中学生は多いですが、それは出会った言葉を「自分のなじみの言葉とどう違うか」「どんな場面で使えるか」を考えずに通り過ぎているからです。語彙を増やす作業は、新しい言葉を取り込むだけでなく、自分がいつも使っている言葉のとなりに置きなおす作業です。

「すごい」しか出てこない状態は、「すごい」という大きな袋に、いろいろな感情を全部詰め込んでいるイメージです。袋を一つしか持たない状態から、「圧倒された」「印象に残った」「忘れがたい」と袋を増やしていくと、感想文の中で同じ気持ちでも書き分けができるようになります。袋を増やすときに使う材料は、本だけではなく、教科書、新聞、家族の会話、テレビのニュースのテロップなど、毎日触れているすべての言葉です。

「読めばいい」を「書きとめればいい」に変える

参考書の「たくさん本を読みましょう」は間違っていませんが、それだけでは語彙はゆっくりとしか増えません。読むのと同時に「書きとめる」を入れると、語彙の増え方が変わります。書きとめる対象は、辞書に載っている難しい言葉ではなく、「自分が日常で使う言葉の言いかえ」です。「すごい」「やばい」「面白い」「だめ」「いい」のような、毎日使う言葉のとなりに、別の言い方を3つだけ書いていきます。

漢語・和語・外来語の三層を意識する

日本語の語彙は、大きく3つの層に分けられます。漢語、和語、外来語の3つです。漢語は中国から伝わった漢字熟語の語、和語は日本の在来の語、外来語はカタカナで書かれることが多い欧米由来の語です。同じ意味でも、3つの層のどれを使うかで文の印象が変わります。

漢語

和語

外来語

提案

もちかけ

プロポーズ

移動

行き来

トラベル

食事

食べもの

ミール

注意

気をつけること

チェック

希望

のぞみ

ホープ

漢語は短く改まった感じが出ます。和語はやわらかく親しみがあります。外来語は新しさや軽さが出ますが、改まった文書には向かないことが多いです。作文では3つの層をバランスよく混ぜると、文章の印象が単調になりません。「すごい」(和語寄り)ばかりが続く文章を、「印象的だ」(漢語)や「忘れがたい」(和語の別表現)と入れ替えると、同じ感想でも厚みが出ます。

3層を混ぜる感覚を体に入れる

3層を意識する練習は、教科書の文章を読みながら、出てくる語を3色に色分けしてみるのが分かりやすいです。漢語は青、和語は緑、外来語は赤、というように決めます。色を塗ったあとに眺めると、教科書の説明文は漢語が多く、物語文は和語が多く、新聞のスポーツ欄は外来語が多いことに気づきます。書き手が何を伝えたいかによって、3層の選び方が変わっているのが見えてきます。

抽象語を具体語に、具体語を抽象語に置きかえる

語彙を増やすもう一つの軸は「抽象と具体の往復」です。抽象語は意味の幅が広く、いろいろな場面に使える言葉で、「努力」「成長」「変化」「課題」などです。具体語は意味の幅が狭く、特定の場面を指す言葉で、「毎日30分の自主練」「身長が伸びる」「学校への通い方が変わった」「数学の証明問題でつまずく」などです。抽象語だけで書くと、文が空っぽに聞こえます。具体語だけで書くと、文の中心が伝わりません。両方を往復するのが、語彙の使い方の核です。

「私は努力した」とだけ書くと、何をどう努力したかが伝わりません。「私は毎日30分、英単語を声に出して覚える練習を続けた」と具体に降りると、内容が立ち上がります。逆に「毎日30分、英単語を声に出して覚える練習を続けた」だけだと、何を伝えたいのかぼやけます。最後に「これが私の努力の意味でした」と抽象を一行添えると、具体が抽象に支えられて、文全体に意味の軸が通ります。

置きかえメモの書き方

抽象と具体を往復する練習として、ノートの見開きに「抽象語」と「具体例」の二列を作り、抽象語に対して具体例を3つ書く形式が使いやすいです。「努力」のとなりに「毎日30分の自主練/単語帳の周回/部活後の素振り」と書く、というように増やしていきます。逆に「毎日30分の自主練」のとなりに、「努力/継続/習慣」と抽象側を3つ書きます。これを1日1組ずつでも続けると、作文で言葉が出てこない場面が減ります。

読書や教科書で出会った言葉のメモの取り方

読書や教科書で「お、この言葉いいな」と感じたら、その場で書きとめます。書きとめる場所は、専用のノートでも、スマホのメモアプリでも、家の机に置いた付箋でも構いません。ポイントは「書きとめるときの形式」です。語だけを書きとめても、後で見たときに使えません。語+意味+例文の3点セットで書きます。

意味

例文

圧倒される

相手の勢いに押されて何も言えなくなる

相手チームの勢いに圧倒された

印象に残る

心に強く刻まれる

主人公の最後の言葉が印象に残った

忘れがたい

忘れることが難しいほど心に深く残る

あの夏の景色は忘れがたい

想定外

前もって考えていた範囲を超えている

想定外の結末に言葉を失った

例文は、本に書かれていたままを写すのではなく、自分の生活に置き直して作ります。本の例文をそのまま写すと、自分のものになりません。自分が使いそうな場面を頭の中で1つ想像して、その場面の例文を自分で書く。この一手間が、語彙を「眺めるもの」から「使えるもの」に変えていきます。

増やすペースは1日3語まで

語彙を増やそうと意気込んで、一気に20語、30語と書きとめても、後で見返さないノートになります。ペースは1日3語までに絞ります。3語×30日で90語、1年で約1000語の積み上げになります。少ないと感じるかもしれませんが、「使えるようになった語」という意味では、これでも十分すぎる量です。質を落とさずに続けるほうが、後の作文や読解で力になります。

作文・発表で語彙を実際に使う場面の作り方

ノートに語を書きためても、使う場面がなければ語彙にはなりません。覚えた語を実際に使う機会を、自分から作りにいきます。手早く作れる場面は3つです。

  1. 作文や日記で1日1語だけ新しく使う:いつもの語を一つだけ言いかえる
  2. 家族や友人との会話で1日1語だけ使う:「すごい」を「印象に残った」に置きかえてみる
  3. 読書感想文や意見文で覚えた語を意識的に入れる:原稿の見直しで「すごい」を別の語に置きかえる作業を入れる

使う場面を増やすと、覚えた語が「眺める語」から「自分の語」に変わります。3つの場面のうち、いちばん手早いのは日記です。1日1語だけ、ノートに書きためた語のうちのどれかを混ぜて、その日の出来事を1〜2行書きます。3日続ければ、覚えた語が口や手に馴染んできます。

コピペで使える言い換え語彙集

感想文や意見文で頻繁に出てくる基本動詞・曖昧形容詞について、漢語寄りの言い換えと、より具体的な言い換えをまとめます。「すごい」「やばい」「いい」のような大きな袋を、場面に合わせて細かい袋に分けていく作業の土台として使えます。1日3語ずつノートに書き写すと、定着しやすくなります。

日常語

漢語

より具体的な言い換え

言う

発言する/指摘する/断言する

はっきり告げる/口にする/声に出す

思う

感じる/推察する/確信する

心の中で思い浮かべる/納得する/受け止める

見る

観察する/注視する/確認する

じっと目を向ける/目で追う/見比べる

する

実行する/実施する/対応する

手を動かす/取り組む/進める

すごい

印象的だ/衝撃的だ/圧倒的だ

心に強く残った/思わず息をのんだ/忘れがたい

いい

良好だ/適切だ/好ましい

心地よい/納得できる/安心できる

やばい

深刻だ/危機的だ/注目に値する

見過ごせない/放っておけない/驚かされる

面白い

興味深い/魅力的だ/独創的だ

時間を忘れて読んだ/思わず引き込まれた/工夫が伝わる

だめ

不十分だ/不適切だ/不可能だ

条件を満たせない/手が届かない/許されない

失敗集。語彙ノートで遠回りした場面

語彙ノートを作るときに、遠回りになりやすい失敗を4つ整理します。

  • 1日30語を書きとめる

    意気込んで毎日30語を書きとめると、数日で続かなくなりやすい。3語までに絞ると続けやすく、結果的に多くの語が定着する。

  • 辞書をそのまま写す

    辞書から「印象的な語」を選んで写しても、自分の生活の場面と結びついていないと、見返したときに使い方が思い出せない。自分で作った例文を1つ書く形式に変えると、ノートが「使える道具」になる。

  • 「すごい」をすべて禁止にする

    作文で「すごい」を一切使わないというルールを自分に課すと、文章が硬くなりすぎて自分の声に聞こえなくなりやすい。「すごい」も時には残し、入れかえるのは段落に1か所ずつでよい。

  • 外来語を増やしすぎる

    「インパクト」「ステージ」「ゴール」とカタカナを増やした原稿は、口で言うと軽くなり、内容が薄く感じられやすい。漢語・和語・外来語のバランスをノートの最後に書き添えておくとよい。

迷ったときの判断手順

作文や発表で、語をどう選ぶか迷ったときの判断手順を、4ステップで整理します。

  1. 手順1。場面の改まり度を測る:かしこまった場面なら漢語寄り、親しい場面なら和語寄り
  2. 手順2。抽象か具体かを決める:話の中心を示すなら抽象、根拠を示すなら具体
  3. 手順3。同じ語を3回続けないかを確認する:続いていたら、別の言いかえを1つ入れる
  4. 手順4。声に出して読んでみる:耳で聞いて違和感があれば、その語は別の語に直す

よくある疑問

漢字をたくさん覚えれば語彙が増えますか。

漢字は語の入り口ですが、語の意味と使い方を一緒に覚えないと語彙にはなりません。漢字+意味+例文の三点セットで覚えます。

外来語を増やすのは良くないですか。

外来語そのものが悪いわけではありません。改まった文書では使いすぎると軽く感じられることがあるので、場面で選び分けます。

難しい語を使えば作文の点が上がりますか。

場面に合わない難しい語は、逆効果になることがあります。自分の言葉として使える語を、文脈に合わせて選ぶほうが点が上がります。

ことわざや慣用句も語彙に入りますか。

入ります。ことわざや慣用句は、決まった形でひとまとまりの意味を表すので、語彙の一部として整理しておくと作文で使えます。

1年でどれくらい語彙が増えますか。

1日3語を続ければ、1年で約1000語の「使える語」が増えます。質を保てば、これで作文や発表の言葉づかいが大きく変わります。

言葉を増やす作業は袋の数を増やす作業

「印象に残った」「忘れがたい」「想定外」のように、いつも使う語のとなりに別の言いかえを並べる習慣が手の動きとして定着すると、読書感想文の下書きでも自然に語を選べるようになります。覚えた語の数を増やすこと以上に、この置きなおしの習慣が効きます。語彙を増やす作業は、自分の持っている袋の数を増やす作業です。袋が3つあると、感情をその場面ごとに分けて入れられるようになります。

明日からの一歩は、ノートの見開きを開いて、「すごい」「やばい」「面白い」の3つの語のとなりに、それぞれ3つの言いかえを書いてみることです。9語の小さな表が、最初の一歩になります。書きためた語を実際に使う場所として、読書感想文の書き方中学校の作文の書き方 を合わせて読むと、覚えた語の使い場所がもう一段明確になります。