中学校の古文で出る助動詞「き・けり・つ・ぬ・たり・り」の意味と見分け方

中学校の古文で出る助動詞「き・けり・つ・ぬ・たり・り」の意味と見分け方の記事を表すモノクロ漫画風イラスト

中学校の古文で出る助動詞の見分け方を、過去・完了・存続を表す6つに分けて整理します。「けり・き・つ・ぬ・たり・り」の意味と接続を、例文と一覧表で確認できます。

目次

  1. 結論:6つの助動詞を意味のグループと接続のセットで覚える
  2. 古文の助動詞を「意味」でグループに分ける
  3. 中学校段階では深入りせず、基本の意味だけ
  4. 過去の「き」と「けり」のニュアンス
  5. 訳の使い分け
  6. 完了の「つ」「ぬ」と存続の「たり」「り」
  7. 訳すときの目安
  8. 接続で助動詞を絞り込む
  9. 接続が分かると意味が決まる
  10. 例文で訳を組み立てる順序
  11. コピペで使える助動詞例文サンプル
  12. 失敗集。古文の助動詞でつまずいた場面
  13. 迷ったときの判断手順
  14. よくある疑問
  15. 意味と接続のセットで助動詞は立ち上がる

古文の現代語訳でとくに止まりやすいのが、文末に出てくる助動詞です。「今は昔、竹取の翁といふものありけり」を例にすると、「今は昔」までは「今となっては昔のこと」と訳せても、「ありけり」の「けり」のところで「過去なのか、別の意味なのか」を判断する材料がなく、空欄になってしまう、という場面はよく起こります。古文の助動詞は数が多そうに見え、教科書のページをめくるたびに新しい助動詞が登場するので、見ているだけで圧倒されがちです。

中学校で扱う助動詞は主に6つだけです。「き・けり・つ・ぬ・たり・り」の6つを、「過去」と「完了・存続」の2つのグループに分けるだけで、見通しはぐっとよくなります。さらにそれぞれの助動詞には、決まった「接続(直前の動詞の活用形)」というルールがあり、これを意味とセットで覚えると、同じ音でも別の助動詞と見分けられるようになります。この記事では、6つの助動詞を意味のグループ・ニュアンス・接続の3点から整理し、訳を組み立てる4ステップの手順までを解説します。

結論:6つの助動詞を意味のグループと接続のセットで覚える

  • 中学校で扱う古文の助動詞はき・けり・つ・ぬ・たり・りの6つに絞って覚えれば足ります。
  • 過去(き・けり)完了・存続(つ・ぬ・たり・り)の2つのグループに分けると見通しがよくなります。
  • きは自分で経験した過去、けりは伝え聞いた過去や「〜だなあ」という詠嘆を表します。
  • りだけ接続が特殊で、サ変未然形と四段已然形に付くため直前の活用形をかならず確かめます。

古文の助動詞を「意味」でグループに分ける

助動詞は、用言(動詞・形容詞・形容動詞)にくっついて意味を加える言葉です。古文には数十の助動詞がありますが、中学校で扱う主役は6つに絞れます。「き」「けり」「つ」「ぬ」「たり」「り」の6つです。これらは大きく2つのグループに分かれます。

グループ

助動詞

主な意味

過去

き/けり

〜た。〜たのだった

完了・存続

つ/ぬ/たり/り

〜てしまった。〜ている

グループで分けて覚える理由は、それぞれの助動詞が単独で意味を持っているのではなく、グループの中での役割分担で意味が成り立っているからです。「き」と「けり」は両方とも過去ですが、ニュアンスが違います。「つ」と「ぬ」は両方とも完了ですが、付く動詞のタイプが違います。「たり」と「り」は両方とも完了と存続ですが、接続する形が違います。グループを先に押さえると、個々の差が「同じ家族の中の違い」として整理しやすくなります。

中学校段階では深入りせず、基本の意味だけ

古文の助動詞には、高校で習う細かいニュアンスや特殊用法がたくさんあります。中学校では、それらに深入りせず、基本の意味と接続条件だけを押さえれば十分です。「過去」「完了」「存続」の3つの訳語が頭に入っていて、どの助動詞がどのグループに属するかが言えれば、教科書本文の現代語訳に詰まることは大きく減ります。

過去の「き」と「けり」のニュアンス

「き」と「けり」は両方とも過去を表しますが、ニュアンスが違います。教科書での説明は次のようになっています。「き」は話し手が自分で経験した過去(直接過去)を表します。「けり」は人から聞いた過去や、伝え聞いた話の過去(間接過去、伝聞過去)、または「〜だったのだなあ」という気づきや詠嘆(強い感じ入り)を表します。

「我、昨日山に登りき」と書かれていたら、書き手自身が登った直接の経験です。「翁、竹を取りに行きけり」と書かれていたら、語り手が「翁が竹を取りに行ったのだったよ」と伝え聞き、あるいは思い出して語っている形になります。竹取物語の冒頭「ありけり」は、まさにこの「あったのだったよ」という語りの形です。物語の冒頭で「けり」が多用されるのは、語り手が読み手に向かって過去の出来事を伝えるからです。

訳の使い分け

現代語訳をするときは、「き」は「〜た」と簡潔に訳し、「けり」は「〜たのだった」「〜たのだなあ」と少し情緒を込めて訳すと、教科書のニュアンスに沿った訳になります。「行きき」は「行った」、「行きけり」は「行ったのだった」「行ったとさ」のような訳が自然です。詠嘆の用法のときは「〜だなあ」とまで訳すこともあり、文脈に応じて選びます。

完了の「つ」「ぬ」と存続の「たり」「り」

完了・存続のグループには4つの助動詞があります。「つ」と「ぬ」は完了、「たり」と「り」は完了・存続の両方を表します。完了は「〜てしまった」「〜た」と訳し、出来事が終わったことを示します。存続は「〜ている」「〜てある」と訳し、状態が続いていることを示します。

助動詞

意味

訳の例

完了・強意

〜てしまった/きっと〜(強意)

完了・強意

〜てしまった/きっと〜(強意)

たり

完了・存続

〜た/〜ている

完了・存続

〜た/〜ている

「つ」と「ぬ」はどちらも完了ですが、傾向として「つ」は人の意志的な動作(自分で意図して行う動作)に付き、「ぬ」は自然な変化や無意志の動作(雨が降る、花が散るなど自分の意志でない動作)に付くと整理されることが多いです。中学校段階では、両方とも「〜てしまった」と訳せれば十分で、深い使い分けは高校で扱います。「たり」「り」は完了でも存続でも訳せますが、文脈で状態が続いているなら存続、出来事が終わったなら完了と判断します。

訳すときの目安

「散りぬ」は「散ってしまった」、「立ちつ」は「立ってしまった」「(きっと)立った」と訳します。「咲きたり」は文脈次第で「咲いた(完了)」「咲いている(存続)」のどちらでも訳せます。前後に「今」「現在」「常に」のような言葉があれば存続、過去の出来事の流れの中にあれば完了。文末の意味から逆算するのが安全です。

接続で助動詞を絞り込む

助動詞は「どの活用形に付くか(接続)」が決まっています。接続を覚えると、同じ音でも別の助動詞だと見抜けるようになります。中学校で扱う6つの助動詞の接続は以下のとおりです。

助動詞

接続

備考

連用形

カ変・サ変は未然形に接続することもある

けり

連用形

連用形

連用形

たり

連用形

サ変未然形・四段已然形

中学校では「咲けり」「書けり」のような四段已然形+りの形で出る

注目したいのは「り」の接続です。他の5つは連用形に付きますが、「り」だけはサ変動詞の未然形(し)と四段動詞の已然形(咲け、書け、読めなど)に付きます。「咲けり」は「咲け(四段已然形)+り」で「咲いた/咲いている」と訳します。「咲きり」とは言いません。「り」を見つけたら直前が已然形か未然形かを確認します。

接続が分かると意味が決まる

同じ「に」という音でも、連用形に付いていれば助動詞「ぬ」の連用形、未然形に付いていれば打消の助動詞「ず」の連用形、というように、接続が違えば別の助動詞です。中学校段階では深追いしませんが、「り」だけは接続が特殊なので必ず押さえます。動詞が何活用の何形になっているかは用言の活用の覚え方 で確認しておくと、接続判定が速くなります。

例文で訳を組み立てる順序

助動詞の知識を実際の訳に使うときの順序を、4ステップで整理します。

  1. ステップ1。助動詞を見つける:「き・けり・つ・ぬ・たり・り」のどれかが文末や文中にあるかを目で探す
  2. ステップ2。意味のグループを決める:過去か、完了・存続か
  3. ステップ3。直前の活用形を確認する:接続を見て、本当にその助動詞か確かめる
  4. ステップ4。文脈で訳を選ぶ:「き」なら「〜た」、「けり」なら「〜たのだった」、「たり」「り」なら完了か存続を文脈で決定

冒頭の「今は昔、竹取の翁といふものありけり」を、この手順でほどいてみます。①「けり」がある。②グループは過去。③「あり」は動詞「あり(ラ変)」の連用形なので接続条件に合う。④文脈は物語の冒頭で語り手が伝え聞いた過去を語る場面なので、訳は「いたのだった」「いたとさ」となります。全体としては「今となっては昔のこと、竹取の翁という者がいたのだった」と訳せます。

コピペで使える助動詞例文サンプル

中学校で扱う6つの助動詞「き・けり・つ・ぬ・たり・り」について、接続条件と短い古文例文、現代語訳をまとめます。教科書範囲で出会いやすい形に整理してあり、テスト前に音読しながら確認すると、意味のグループと接続が一度に頭に入ります。

助動詞

接続

例文

連用形

昨日、山に登りき。

昨日、山に登った。

けり

連用形

今は昔、翁ありけり。

今となっては昔のこと、翁がいたのだった。

連用形

夕日、山に沈みつ。

夕日が山に沈んでしまった。

連用形

花、すでに散りぬ。

花は、すでに散ってしまった。

たり

連用形

庭に桜咲きたり。

庭に桜が咲いた/咲いている。

サ変未然形・四段已然形

門に人立てり。

門に人が立っている。

サ変未然形・四段已然形

帝、御文を遣はせり。

帝が、お手紙をお遣わしになった。

「り」は他の5つと違って、サ変動詞の未然形と四段動詞の已然形に付くという特殊な接続を持ちます。例文の「立てり」は「立て(四段已然形)+り」、「遣はせり」は「遣はせ(四段已然形)+り」と分解できます。「遣はす(つかはす)」は四段動詞なので、その已然形「遣はせ」に「り」が付いた形です。今回の2例はいずれも四段已然形(立て・遣はせ)に「り」が付いた例で、同じ仕組みです。

失敗集。古文の助動詞でつまずいた場面

古文の助動詞でつまずきやすい場面を4つ並べます。

  • 「ありけり」を「あるよ」と現在形で訳してしまう失敗

    「けり」が過去の助動詞だと気づかず、「あり」の現在形で訳してしまうことがあります。古文の助動詞は意味のグループから入ると遠回りになりません。まず「過去なのか完了なのか」を最初に問う癖をつけると防げます。

  • 「散りぬ」を「散らない」と打消で訳してしまう失敗

    「ぬ」を打消の「ず」の連体形「ぬ」と混同して、「散らない」と訳してしまうことがあります。接続を確かめると、「散り」は連用形なので、付いているのは完了の「ぬ」だと分かります。打消の「ぬ」は未然形に付くという接続の違いで見分けます。

  • 「き」と「けり」を逆に覚えてしまう失敗

    「き」のほうが古い言い回しに感じて「伝聞」と覚えてしまうことがあります。「き=直接体験」「けり=伝聞・詠嘆」と用語のラベルを別の色で書き分け、付箋でノートに貼っておくと取り違えにくくなります。

  • 「咲けり」を「咲けば」と読んでしまう失敗

    「咲けり」の「け」を仮定形と早合点して「咲けば」のように訳してしまうことがあります。「り」はサ変未然形と四段已然形に付くという接続を覚えておくと、「咲け」が四段已然形だと気づけます。

迷ったときの判断手順

助動詞の問題で迷ったときの判断手順を、4ステップで整理します。テスト直前に思い出すための短い手順です。

  1. 手順1。助動詞は6つだけと唱える:「き・けり・つ・ぬ・たり・り」が出てくる候補
  2. 手順2。グループに振り分ける:過去(き・けり)か、完了・存続(つ・ぬ・たり・り)か
  3. 手順3。「き/けり」のニュアンスを使い分ける:直接過去なら「き」、伝聞・詠嘆なら「けり」
  4. 手順4。「り」の接続を確認する:サ変未然形か四段已然形か。それ以外は別の助動詞

よくある疑問

「けり」は「〜たのだった」と必ず訳すべきですか。

文脈次第です。語り手が伝え聞いた過去なら「〜たのだった」、書き手の気づきや詠嘆なら「〜だったのだなあ」と訳すこともあります。

「つ」と「ぬ」のどちらを使うか自分で判断する必要はありますか。

中学校段階では訳すだけなので、自分で使い分ける場面はあまり出ません。教科書本文に出てきたほうを「〜てしまった」と訳せれば十分です。

「たり」と「り」はどう違うのですか。

意味は同じ完了・存続ですが、接続が違います。「たり」は連用形、「り」はサ変未然形と四段已然形に付きます。

古文の助動詞は中学校では何個まで覚えればいいですか。

教科書に出てくる主な6つを意味と接続のセットで覚えれば足ります。高校に進むと数が増えますが、ここで基礎を固めておくと後が楽になります。

助動詞と助詞は何が違うのですか。

助動詞は用言にくっついて意味を加える言葉で活用します。助詞は活用しません。「が」「を」「に」のような助詞と区別して覚えます。

意味と接続のセットで助動詞は立ち上がる

意味のグループ(過去か完了・存続か)と接続(連用形か未然形か已然形か)の2つを、必ずセットで確認できるようになると、「けり」のところで止まらず「いたのだった」と訳せるようになります。必要なのは覚える助動詞の数を増やすことではありません。古文の助動詞は数を増やすより、6つを意味と接続のセットで深く知るほうが、読解の足場として強く働きます。

明日からの一歩は、教科書の古文の本文を1ページだけ選び、「き・けり・つ・ぬ・たり・り」が出てくるたびに鉛筆で丸を付けてみることです。丸を付けた瞬間に「これは過去か、完了か」を口の中で言ってみます。一週間続ければ、見つける速さが体に入ります。係り結びの法則と組み合わせて読みたいときは、係り結びの法則の使い方 も合わせて確認しておくと、古文の地の文がぐっと読みやすくなります。