漢文の返り点の読み方と中学校で出る「レ点・一二点・上下点」の手順

漢文の返り点の読み方と中学校で出る「レ点・一二点・上下点」の手順の記事を表すモノクロ漫画風イラスト

漢文の返り点の読み方を、中学校で出る「レ点」「一二点」「上下点」の3種類に分けて整理します。読み順の優先と訓読の流れを、教科書例文と表で確認できます。

目次

  1. 結論:返り点は種類ごとに読み手順を分ける
  2. 漢文を訓読するとは
  3. レ点の意味と読み順
  4. 一二点の意味と読み順
  5. レ点と一二点の使い分け
  6. 上下点を含む文
  7. 教科書例文での演習
  8. 返り点の読み順一覧(4例)
  9. 失敗集 — 返り点で取りちがえやすい4つ
  10. 迷ったときの判断手順
  11. 関連して読みたいページ
  12. 返り点は「種類ごとに読み手順を分ける」だけで通り抜けられる

漢文の返り点は、本文の読み順を案内する小さな道しるべに似ています。漢字の左下に「レ」や「一」「二」と小さな印がついていて、その指示通りに視線を動かすと、中国語の語順で書かれた文が日本語として読める順序に組み変わっていく仕組みです。ところが道しるべがあっても、印の種類とそれぞれの読み方が結びついていないと、上から順に読んで意味の通らない言葉のかたまりができ、ノートには「読み順がたどれない」とだけ残ることになります。

返り点はにぎやかに見えても、中学校で扱う種類は「レ点」「一二点」「上下点」の3つだけです。それぞれに読み方の手順が決まっていて、種類ごとに分けて手を動かせば、見た目の複雑さに振り回されずに訓読できます。この記事では、漢文を訓読するとはどういう作業か、3種類の返り点の使い分け、レ点と一二点の読み順、上下点を含む文の優先順位、教科書例文での演習手順までを順にたどります。最後まで読めば、教科書ページを開いたとき、返り点を3種類に色分けするところから動き出せるようになります。

結論:返り点は種類ごとに読み手順を分ける

  • 中学校で扱う返り点はレ点・一二点・上下点の3種類だけです。
  • レ点は直前の1字を後回しにして次の字を先に読みます。
  • 一二点は2字以上を後回しにして「一」から「二」へ返ります。
  • 上下点は一二点の外側でもう一段返ります。読むときは内側のレ点→一二点→外側の上下点の順に処理します。

漢文を訓読するとは

漢文を訓読するとは、もともと中国語の語順で書かれた文を、日本語の語順に読み替えることを指します。日本語と中国語は語順が大きく違うため、漢字をそのままの順で読むと意味が通らないことがあります。そこで、漢字の左下に小さな「返り点」をつけて、読む順序を後ろから引き上げる仕組みが作られました。中学校で扱う返り点は、主に「レ点」「一二点」「上下点」の3種類です。

返り点の名前

使う場面

基本の意味

レ点

すぐ上の1字に返って読むとき

直前の1字を後回しにして、次の字を先に読む

一二点

2字以上離れた字に返るとき

「二」の字を後回しにし、「一」の字を先に読む

上下点

一二点を含むまとまりの外側でさらに返るとき

「下」を後回しにし、「上」を先に読む

この3種類は、外側に向かって順番が組み合わされていきます。中学校段階では「レ点と一二点が中心、上下点が補助」と覚えておけば、教科書の例文の大半は読めるようになります。

レ点の意味と読み順

レ点は、漢字の左下に「レ」の形でついている小さな印です。レ点がついた字は、すぐ上の1字を後回しにして、自分のあとに置いてから読む、という決まりです。下の表で、レ点の前後の漢字をどう読むかを確認してみてください。

漢文(原文)

レ点の位置

訓読順

訓読文

読 レ 書

読の左下

書 → 読

書を読む

学 レ 文

学の左下

文 → 学

文を学ぶ

知 レ 之

知の左下

之 → 知

之を知る

有 レ 友

有の左下

友 → 有

友 有り

読み順を矢印にすると「右上の字を一度とばし、左下にレ点のついた字より先に下の字を読む」流れになります。読みながら、レ点がついた字に小さな丸を書き、その上の字に番号「2」、下の字に番号「1」を書きこんでおくと、視線が迷子にならず、テンポよく読めるようになります。

一二点の意味と読み順

一二点は、漢字の左下に「一」「二」(場合によっては「三」も)と書かれた数字の印です。「二」のついた字は後回しにし、「一」のついた字を先に読みます。レ点が「1字だけ後回し」だったのに対して、一二点は「2字以上にわたって後回し」になる場合に使います。

漢文(原文)

一二点の位置

訓読順

訓読文

読 二 書 一

書に一、読に二

書 → 読

書を読む

以 二 大 義 一

義に一、以に二

大 → 義 → 以

大義を以て

有 二 一 言 一

言に一、有に二

一 → 言 → 有

一言 有り

送 二 客 帰 一

帰に一、送に二

客 → 帰 → 送

客の帰るを送る

一二点を読むときは、まず「一」のついた字を見つけ、その手前の漢字をふつうの順で読み進めます。「一」までたどりついたら、その先の「二」までさかのぼり、「二」のついた字を読みます。三字以上の語句がかぶさるときは「三」も登場します。中学校では基本「一」「二」までで十分です。

レ点と一二点の使い分け

レ点と一二点の使い分けは、「後回しにする字が1字か、2字以上か」で決まります。後回しが1字だけならレ点、後回しに2字以上のかたまりが入るなら一二点になります。同じ意味を表すのに、どちらの返り点を使っているかは本文によって異なります。テストでは、本文の通りの記号で読めるかどうかが問われるので、両方の使い分けを表で見比べておくと安心です。

上下点を含む文

上下点は、一二点を含むまとまりの外側で、さらにもう一段返るときに使います。本文の左下に「上」「下」(必要に応じて「中」)と書かれた印で、「下」を後回しにし、「上」を先に読みます。レ点と一二点だけで足りるなら上下点は登場しません。中学校段階では、上下点が出てくる例文は限られているので、まずは「一二点の外側にもう一段あるとき」と覚えておくとよいでしょう。

返り点の組み合わせ

読み順の優先

中学校段階での扱い

レ点だけ

レ点の前後で1字を入れ替える

基本中の基本

一二点だけ

「一」を先に、「二」を後回しに

中心となる返り点

レ点 と 一二点

レ点を含むかたまりを一二点で囲む

組み合わせて読む

一二点 と 上下点

一二点を内側、上下点を外側で読む

補助として登場

レ点 と 一二点 と 上下点

内側のレ点から外側の上下点へ

応用。教科書例文に時々出る

優先順位の感覚としては、内側のレ点を先に処理し、次に一二点、最後に上下点という外側に向かう順序です。漢文の返り点には「甲乙丙点」もありますが、中学校では原則として扱われないので、見かけても「高校以降に詳しく習う」と思っておけば大丈夫です。

教科書例文での演習

返り点の読み方が分かってきたら、教科書の例文で手と目を動かしてみます。次の手順を一行ずつ守って、ノートに読み順を書きこんでいくと、頭の中に流れが残りやすくなります。

  1. 1. 本文を1行ずつ写す:漢文をノートに書き写し、返り点もそのままつける。
  2. 2. レ点の前後を入れ替える:レ点を見つけたら、すぐ上の字を後回しにする矢印を書く。
  3. 3. 一二点の読み順を数字で書く:「一」から「二」へ向かって数字を入れていく。
  4. 4. 上下点があれば外側で囲む:一二点のまとまりの外に上下点があれば、もう一段返る矢印を書く。
  5. 5. 訓読文を書き下す:矢印に従って日本語の語順で書き下し、最後に読み直して意味が通るかを確認する。

教科書の論語の一節「学而時習之、不亦説乎」をこの手順で読むと、これまで読めずに止まっていた漢文が、ノートの上で訓読文に組み変わっていきます。最初は時間がかかっても、3〜4文で慣れてくると、視線の動かし方が自然と身につきます。

返り点の読み順一覧(4例)

返り点ごとの読み順を、短い漢文の例で4本まとめておきます。原文・読み順・書き下し文の三段で示しているので、ノートに書き写してから自分で訓読の番号を振り直す練習にも使えます。中学校で扱う論語や故事成語の範囲に収まる短い文に絞ってあります。

返り点

原文

読み順

書き下し文

レ点

読 レ 書

書(1)→ 読(2)

「書を読む」

レ点+一二点

有 レ 朋 自 二 遠 方 一 来

朋(1)→ 有(2)→ 遠(3)→ 方(4)→ 自(5)→ 来(6)

「朋有り、遠方より来たる」

レ点

学 而 時 習 レ 之

学(1)→ 而(2)→ 時(3)→ 之(4)→ 習(5)

「学びて時に之を習ふ」

一二点

以 二 大 義 一

大(1)→ 義(2)→ 以(3)

「大義を以て」

4例とも、レ点と一二点で読める基本パターンです。レ点が出てきたら直前の1字を後回しにし、一二点が出てきたら「一」から「二」へ返る、という手順を、原文・読み順・書き下し文の対応で目で追えるようになっています。上下点を含む応用パターンは、この基本に慣れてから次の例文に進むと無理なく読めます。

失敗集 — 返り点で取りちがえやすい4つ

  • 1. レ点と一二点の優先を取りちがえる

    レ点を一二点より先に処理しなければならないのに、外側から先に読んでしまう。内側のレ点を必ず先に。

  • 2. 一二点の「二」を先に読んでしまう

    数字の小さい順に読むと勘違いし、「二」から読んで意味が通らなくなる。「一」を先に、「二」を後回しに。

  • 3. 返り点がない字を後回しにしてしまう

    返り点が左下についている字以外は、そのまま日本語と同じ順で読む。点のない字を勝手に動かさない。

  • 4. 訓読のあとに意味を確かめない

    書き下しただけで満足し、文意が通っていないのを見落とす。最後に「意味が通る日本語か」を声に出して読み返す。

迷ったときの判断手順

  1. ステップ1:本文に出てくる返り点を「レ点」「一二点」「上下点」のいずれかに分類する。
  2. ステップ2:内側にあるレ点・一二点の読み順を数字でノートに書きこむ。
  3. ステップ3:外側に上下点があれば、内側の読み順を終わらせてから上下点を処理する。
  4. ステップ4:訓読文を書き下したら、声に出して読み返し、意味の通る日本語になっているかを確認する。

関連して読みたいページ

漢文を読むときは、訓読のなかで現れる古典文法が読み取りの助けになります。係り結びについては中学校の古文で習う係り結びで、用言の活用は中学校の用言の活用の覚え方で、古文の助動詞は古文の助動詞の見分け方で扱っています。あわせて読むと、訓読のあとの書き下し文も解釈しやすくなります。

返り点は「種類ごとに読み手順を分ける」だけで通り抜けられる

本文の見た目のにぎやかさに振りまわされず、レ点・一二点・上下点の3種類それぞれに読み手順を分けるのが、確実なやり方です。明日の漢文の教科書ページを開いたら、まず返り点を3種類に色分けしてみてください。意味の通る訓読文は、その色分けの先で待っています。