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小論文を書くように言われたものの、作文とどう違うのか、何から書き出せばよいのか分からない。そんな手探りの状態は、推薦入試を意識し始めた高校生によくあります。原稿用紙を前にして、最初の一行が決まらないまま時間だけ過ぎることもあります。
小論文は、決まった型と組み立て方を覚えれば、迷う場面がぐっと減ります。主張を先に決め、その主張を支える根拠をそろえ、型に沿って並べる。この流れを身につければ、テーマが変わっても同じやり方で書けるようになります。
結論:主張を先に決め、序論・本論・結論の型に根拠を入れる
- 小論文は感想ではなく、自分の主張を根拠で支えて説明する文章です。
- 序論・本論・結論の三部構成にすると、読み手が論の流れを追いやすくなります。
- 主張は本論で理由と具体を添えて支え、思いつきで終わらせないようにします。
- 書き出す前に主張と根拠を箇条書きで決めておくと、途中で論がぶれにくくなります。
作文と小論文の違いを表で確認
小論文を書く前に、作文との違いをはっきりさせておきます。同じ「文章を書く」でも、求められるものが異なります。
観点 | 作文 | 小論文 |
|---|---|---|
中心になるもの | 体験や感想 | 主張と根拠 |
文体 | 自由 | 常体(だ・である)が基本 |
評価される点 | 表現の豊かさ | 論の筋道と説得力 |
結び | 気持ちのまとめ | 主張の再確認 |
一番の違いは、何を中心に据えるかです。作文は体験や感想が中心ですが、小論文は主張とその根拠が中心になります。感想を書く感覚のまま小論文に臨むと、評価のものさしがずれてしまいます。
文体も違います。作文は自由に書けますが、小論文は「だ・である」の常体でそろえるのが基本です。「です・ます」と「だ・である」が混ざると、整っていない印象になります。書き始める前に、どちらでそろえるか決めておきます。
小論文で問われるテーマの型
小論文のテーマには、いくつかの型があります。賛成か反対かを問うもの、課題文を読んで意見を述べるもの、グラフや資料から読み取るものなどです。型を知っておくと、出された問いにどう取りかかるかが見えてきます。
どの型でも、まず問いが何を求めているかを正確につかむことが出発点です。賛否を問われているのに説明だけで終わったり、資料を読むよう求められているのに自分の感想だけ書いたりすると、的を外します。問いに正面から答えます。
賛成か反対かを問う型では、立場をはっきり決めることが第一歩です。どちらにも一理あると分かっていても、文章の中ではどちらかに決めて論じます。立場を決めずに両論を並べるだけでは、自分の主張が伝わりません。
課題文や資料がある型では、まずそれを正確に読み取る必要があります。資料の数字や筆者の主張を取り違えると、その後の論がすべてずれてしまいます。自分の意見を書く前に、与えられた材料を落ち着いて読みます。
小論文の基本の型
小論文は、序論・本論・結論の三部構成が基本です。それぞれの役割を決めておくと、どこに何を書くか迷いません。
序論を書く。
問いに対する自分の主張を、最初にはっきり示します。
本論を書く。
主張の理由と具体を述べ、説得力を持たせます。
反対の見方に触れる。
別の意見も認めたうえで、自分の主張を補強します。
結論を書く。
主張をもう一度示し、文章を締めます。
序論の役割最初に主張を示す
序論では、出された問いに対する自分の答え、つまり主張を最初に置きます。「私は〜だと考える」と立場を明示すると、読み手はこの先の論の方向をすぐにつかめます。
ここで主張をあいまいにすると、本論全体がぼやけてしまいます。書き出しに迷ったら、まず一文で自分の立場を言い切ることから始めます。長い前置きは要らず、結論を先に出す方が読み手に伝わります。
本論の役割理由と具体で支える
本論は小論文の中心で、序論で示した主張を支える場所です。「なぜそう言えるのか」という理由を述べ、その理由を裏づける具体的な事実や例を添えます。
理由だけでは説得力が弱く、具体だけでは主張とのつながりが見えません。理由と具体をそろえて初めて、読み手は主張に納得します。両方をセットで書くことを意識すると、本論が締まります。
結論の役割主張をもう一度示す
結論では、序論で述べた主張をもう一度示して文章を締めます。ここで新しい話題を持ち出すと、論が散らかった印象になります。本論で述べた根拠を踏まえ、「だから〜だと考える」と主張を再確認するのが基本です。
結論は長くする必要はありません。序論と同じことを別の言葉で言い直し、論全体を一つにまとめれば十分です。最後の一文がはっきりしていると、読み終わったときの印象が引きしまります。
主張と根拠のそろえ方
小論文の説得力は、主張と根拠がきちんとかみ合っているかで決まります。根拠には、社会で広く知られている事実、データ、自分が確かめた経験などがあります。思いつきの感想ではなく、誰が読んでも確かめられる材料を選ぶことが大切です。
根拠を選ぶときは、主張と直接つながるものを選びます。主張と関係の薄い根拠を並べても、論はかえって散らかります。一つの主張に対して、強い根拠を一つか二つ用意する方が、たくさん並べるより伝わります。
根拠には、自分の経験を使うこともできます。ただし、個人の経験だけに頼ると「自分はそうだった」で終わりがちです。経験を挙げたら、それが多くの人にも当てはまると言える理由を添えると、主張の支えとして強くなります。
根拠の種類 | 強み | 注意点 |
|---|---|---|
広く知られた事実 | 反論されにくい | あいまいな伝聞は避ける |
公的な統計やデータ | 客観性が高い | 出どころを確かめる |
自分の経験 | 具体的で伝わる | 個人の例に偏りすぎない |
書き出しの決め方
書き出しに時間がかかる人は、結論から決めるとうまくいきます。問いに対する自分の答えを先に一文で書き、その後でその答えを支える理由を考えます。順番を逆にして、理由を探してから主張を決めようとすると、論がまとまりにくくなります。
書き出す前に、主張・理由・具体を箇条書きでメモしておくと安心です。設計図があれば、本文を書いている途中で論がぶれても、メモに戻って立て直せます。いきなり原稿用紙に書き始めず、まず設計図を作る習慣をつけると失敗が減ります。
設計図ができたら、各部分におよその字数を割り振ります。序論と結論は短めにし、本論に最も多くの字数を使うのが基本です。配分を先に決めると、本論が薄くて序論ばかり長い、という偏りを防げます。
書き出しの一文は、凝った表現でなくてかまいません。「私は〜だと考える」と立場を述べる素直な一文で十分です。書き出しに時間をかけすぎると本論を書く余裕がなくなるので、まず立場を言い切って先へ進みます。
どうしても書き出せないときは、本論から先に書く方法もあります。理由と具体を先に書き出し、後から序論で主張を整える進め方です。最初の一文にこだわって止まるより、書ける部分から手をつけた方が全体が早く仕上がります。
時間配分の目安
試験で小論文を書くときは、いきなり書き始めず、時間を配分します。全体の三割ほどを構想に使い、残りで本文を書き、最後の数分を見直しに残すと安定します。
段階 | 使う時間の目安 | やること |
|---|---|---|
構想 | 全体の約3割 | 主張と根拠を箇条書きにする |
執筆 | 全体の約6割 | 型に沿って本文を書く |
見直し | 全体の約1割 | 誤字と論のつながりを確認 |
やりがちなパターンと直し方
小論文でつまずきやすいのは、主張があいまいなまま書き進めてしまうパターンです。「〜だと思います」「〜かもしれません」と弱い言い方が続くと、立場が伝わりません。「〜だと考える」と言い切り、その理由を本論で示すと、論がはっきりします。
もう一つよくあるのが、具体例だけで本文を埋めてしまうパターンです。例を並べても、それが主張とどうつながるかを書かなければ、ただの体験談になります。具体例の後に「だから〜だと言える」と一文を添え、主張へ戻すことを忘れないようにします。
三つめは、問いから外れた話を書いてしまうパターンです。書いているうちに思いついた別の話題へそれると、論の中心がぼやけます。設計図を手元に置き、いま書いている部分が問いに答えているかを、こまめに確かめます。
四つめは、見直しの時間を取らずに書きっぱなしにするパターンです。誤字や文のねじれが残ると、論が良くても読みにくくなります。最後の数分は必ず見直しに残し、誤りと論のつながりを確かめてから提出します。
よくある疑問
文体は「です・ます」でもよいですか?
小論文は「だ・である」の常体が基本です。文章全体でどちらかにそろえます。
自分の体験を書いてもよいですか?
主張を支える根拠としてなら有効です。体験で終わらせず、主張へつなげます。
反対意見はわざわざ書くべきですか?
別の見方に触れてから自分の主張を述べると、論に深みが出ます。余裕があれば入れます。
字数が足りません。
主張の理由をもう一つ足すか、具体例を一つ加えると、論を保ったまま字数を増やせます。
まとめ
小論文は、主張を先に決め、序論・本論・結論の型に根拠を入れる手順で書けます。作文と違い、求められるのは表現の豊かさより論の筋道です。
書き出す前に主張と根拠を箇条書きで設計し、言い切る形で主張を示せば、テーマが変わっても落ち着いて書き進められます。型をくり返し使ううちに、構想にかける時間も短くなっていきます。
