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現代文の要約で、どこを残してどこを削ればよいか分からず、結局ほとんど書き写してしまう。そんな手詰まりは高校でよく起こります。文章をなんとなく短くするだけでは、筆者が一番言いたかったことが抜け落ちてしまうこともあります。
要約は感覚ではなく、手順でこなせる作業です。筆者の主張を一文で押さえ、その主張を支えるキーワードを拾い、指定字数に合わせて削る。この順番を覚えれば、初見の文章でも同じやり方で要約を組み立てられます。
結論:筆者の主張を一文で決め、それを支える語だけ残す
- まず筆者が一番言いたい主張を一文で決め、その文を要約の軸にします。
- 各段落から要点を一つずつ取り出し、具体例や言い換えは削ります。
- 主張を支えるキーワードを拾い、それ以外の修飾語は思い切って落とします。
- 最後に指定字数に合わせて、つながりが切れない範囲で言葉を圧縮します。
要約に取りかかる前の早見表
要約は「残す部分」と「削る部分」をあらかじめ決めておくと迷いが減ります。下の早見表を頭に入れてから本文を読むと、線を引く位置が定まります。
本文の要素 | 扱い | 理由 |
|---|---|---|
筆者の主張・結論 | 必ず残す | 要約の軸になるため |
主張を支える理由 | 残す | 主張の根拠を示すため |
具体例・体験談 | 原則削る | 主張の言い換えにすぎないため |
対比のための反対意見 | 一言で残す | 主張の輪郭を示すため |
修飾語・繰り返し | 削る | 字数を圧迫するだけのため |
この表で大切なのは、要素ごとに扱いを決めておくことです。読みながらいちいち「これは残すべきか」と迷うと、時間も集中力も消えてしまいます。あらかじめ方針を決めておけば、本文を読む作業に集中できます。
とくに迷いやすいのが、対比のための反対意見です。筆者はわざと反対の立場を紹介してから、それを乗り越える形で主張を述べることがあります。この場合、反対意見は一言だけ残し、筆者が最後にたどり着いた主張を厚く残します。
なぜ要約でつまずくのか
要約が苦手な人の多くは、全部が大事に見えてしまうという悩みを抱えています。筆者は読み手を納得させるために、主張のまわりに理由や具体例を厚く重ねます。その厚みに引きずられると、どこも削れなくなってしまいます。
もう一つのつまずきは、原文の言い回しを変えるのが怖くて、結局書き写してしまうことです。要約は丸写しではなく、要点を自分の言葉でつなぎ直す作業です。原文に忠実であろうとしすぎると、かえって字数に収まらなくなります。
苦手意識の背景には、正解の要約が一つしかないという思い込みもあります。実際には、主張さえ外していなければ、言葉の選び方には幅があります。完璧な一文を探して止まるより、まず手順どおりに書き切る方が前に進めます。
段落の役割を見分ける
段落には役割があります。話題を持ち出す段落、具体例を挙げる段落、主張をまとめる段落などです。役割を意識して読むと、どの段落から要点を多く拾うべきかが見えてきます。
一般に、文章の終わりに近い段落ほど主張が濃くなります。最初の段落は話題の紹介にとどまることが多いので、要約では軽く扱います。段落の位置と役割を結びつけて読むと、線を引く配分が決まります。
段落ごとに要点を一つずつ取り出す手順
要約は、いきなり全体をまとめようとすると行き詰まります。段落単位で要点を取り出し、それをつなぐ順番で進めると、初見の文章でも安定して要約できます。
通読する。
まず全体を一度読み、何についての文章かをつかみます。
段落の要点に線を引く。
各段落で一番大事な一文を選び、線を引きます。
主張の段落を見つける。
「つまり」「このように」などの後ろに主張が来やすいので注目します。
要点をつなぐ。
線を引いた一文をつなげ、骨組みの文章を作ります。
字数を調整する。
重複や修飾語を削り、指定字数に収めます。
主張のしるし接続語の後ろに注目する
筆者の主張は、文章のあちこちに散らばっているように見えても、目印のある場所に置かれやすいものです。「しかし」「つまり」「このように」「重要なのは」といった語の直後には、筆者の言いたいことが続く傾向があります。
線を引く位置に迷ったら、こうした接続語を手がかりにすると主張を取り出しやすくなります。とくに「しかし」の後ろは、前の内容を打ち消して本当に言いたいことが来る場所です。逆接の接続語に出会ったら、その先を注意して読みます。
具体例の見分け方「たとえば」は削る合図
「たとえば」「具体的には」で始まる部分は、直前の主張を分かりやすくするための具体例であることが多いです。具体例は主張を支える材料ですが、主張そのものではありません。
要約では原則として具体例を削り、その具体例が説明していた主張の方を残します。これだけで字数をかなり節約できます。例が長く続くときほど、削れる分量も大きくなると考えてよいでしょう。
キーワードの取り出し方
キーワードとは、その文章を通じて繰り返し出てくる語や、主張の中心になる語のことです。文章全体で何度も登場する言葉は、筆者が大事にしている概念であることが多いといえます。
キーワードを拾うときは、抽象的な語と具体的な語を区別します。「自由」「責任」「共生」のような抽象語は主張の核になりやすく、要約に残す価値があります。一方、固有名詞や日付などの細かい情報は、要旨に直結しなければ落とします。
キーワードどうしの関係をつかむと、要約はさらに正確になります。たとえば二つの語が対比されているなら、その対比を一文で示すだけで、文章の骨格が伝わります。語を拾うだけでなく、語と語のつながりにも目を向けます。
見つけたキーワードは、要約の中で必ず使うようにします。元の文章の中心概念を残さずに要約すると、表面だけ似た別の文章になってしまいます。拾ったキーワードを軸に文を組み立てると、要旨から外れにくくなります。
指定字数への合わせ方
骨組みができたら、指定字数に合わせて削ったり補ったりします。字数が多すぎるときは、まず修飾語と重複表現から削るのが基本です。「非常に」「とても」「さまざまな」などは、なくても意味が通る場合が多いといえます。
状況 | 対処 | 具体例 |
|---|---|---|
字数が多い | 修飾語と重複を削る | 「非常に重要な」→「重要な」 |
字数が多い | 文を一文にまとめる | 二文を「ので」「が」でつなぐ |
字数が少ない | 理由を一つ補う | 主張に「なぜなら」を足す |
つながりが悪い | 接続語を整える | 「だから」「しかし」を補う |
字数調整で気をつけたいのは、削りすぎて主張のつながりが切れないことです。語を抜いた結果、文の意味が変わっていないかを必ず読み返します。指定字数の九割ほどを目安に収めると、見直す余裕も生まれます。
やりがちなパターンと直し方
よくあるのが、本文の前半だけを要約してしまうパターンです。最初の話題を丁寧に写しているうちに字数が尽き、肝心の主張が入らないまま終わります。先に主張の段落を見つけ、そこを必ず入れてから前半を削ります。
もう一つは、具体例を入れたまま主張を落としてしまうパターンです。印象に残った例を残し、抽象的な主張を削ると、何の話か伝わらなくなります。具体例は削り、それが支えていた主張を残すという順番を守ります。
要約力を伸ばす練習法
要約は、毎日のように長い文章を一行でまとめる練習を重ねると、少しずつ速くなります。教科書の評論文や新聞のコラムを使い、「この文章は結局何を言いたいのか」を一文で書く練習が手軽です。
書いた一文は、元の文章と見比べ、主張がずれていないか確かめます。ずれていたら、どの接続語や具体例に引きずられたのかを振り返ります。この見直しを重ねるほど、主張を外さない目が養われます。
慣れてきたら、字数を段階的に変えて練習します。同じ文章を百字でまとめ、次に五十字でまとめると、何が本当に必要な情報かが見えてきます。削るほど主張がくっきりするので、削る練習そのものが要約の上達につながります。
練習の仕上げに、自分の要約を友だちや家族に読んでもらうのも有効です。元の文章を知らない人が読んで意味が通れば、要点をうまく取り出せた証拠です。伝わらなければ、どの情報が抜けたかを一緒に確かめます。
練習を続けるときは、同じ分野の文章ばかりでなく、いろいろな話題に取り組みます。説明文、評論文、随筆など、文章の種類によって主張の置き場所は変わります。さまざまな型に触れておくと、初見の文章にも落ち着いて向き合えます。
よくある疑問
本文の言葉をそのまま使ってよいですか?
キーワードはそのまま使ってかまいませんが、文全体の丸写しは要約になりません。自分の言葉でつなぎ直します。
自分の意見を入れてもよいですか?
要約は筆者の主張をまとめる作業なので、自分の意見や感想は入れません。意見は別の設問で書きます。
接続語が見つからないときはどうしますか?
各段落の最初か最後の一文に要点が来やすいので、そこを起点に主張を探します。
要約の制限時間が足りません。
通読を一度で済ませ、二度目は線を引いた一文だけ拾い読みすると速くなります。
まとめ
現代文の要約は、主張を一文で決め、キーワードを拾い、字数に合わせて削る手順でこなせます。具体例や修飾語は思い切って落とし、筆者が一番言いたいことを軸に残します。
短い文章で要約を繰り返すうちに、初見の文章でも同じ手順で要点を取り出せるようになっていきます。完璧を目指すより、まず手順どおりに最後まで書き切ることを優先すると、上達が早まります。
