目次
志望理由書を書こうとしても、「楽しそうだから」「家から近いから」くらいしか思い浮かばず、原稿が進まない。推薦入試を控えた高校生がよくぶつかる壁です。書けたつもりでも、どこかで読んだような文章になってしまうこともあります。
志望理由書は、決まった順番で組み立て、自分の理由を一段深く掘り下げれば、自分にしか書けない文章になります。きっかけ、学びたいこと、入学後の計画を並べ、それぞれを「なぜ」で掘る。この手順を覚えれば、ありきたりから抜け出せます。
結論:きっかけ・学びたいこと・入学後を並べ、理由を深掘りする
- 志望理由書はきっかけ・学びたいこと・入学後の計画の順に並べると流れが整います。
- 「楽しそう」で止めず、なぜそう思ったかを二、三回掘り下げます。
- その学校でできることと自分の希望を結びつけ、根拠を具体的にします。
- 入学後の計画まで書くと、本気度が伝わり、ありきたりから抜け出せます。
志望理由書の基本構成を早見表で確認
志望理由書は、書く順番を決めておくと迷いません。下の早見表の順に並べると、読み手が理由を自然に追えます。
構成 | 書く内容 | 役割 |
|---|---|---|
志望のきっかけ | 興味を持った出来事 | 関心の出発点を示す |
学びたいこと | その学校で学びたい内容 | 具体的な目的を示す |
学校を選んだ理由 | その学校ならではの点 | 他校でない理由を示す |
入学後の計画 | 取り組みたいこと | 本気度と将来像を示す |
この順番には意味があります。関心の出発点から始め、学びたいこと、学校選びの理由、入学後へと進めると、読み手は自然に納得できます。順番を入れ替えると、話が前後して理由が伝わりにくくなります。
四つの要素は、長さのバランスも大切です。きっかけだけが長く、肝心の学びたいことが薄いと、関心の中身が伝わりません。きっかけは出発点として簡潔にし、学びたいことと入学後の計画に字数を厚く配ります。
志望理由書で見られていること
志望理由書では、文章のうまさよりも、その学校で学びたい気持ちが本物かどうかが見られています。だからこそ、立派な言葉より、自分の経験に根ざした理由の方が伝わります。
もう一つ見られているのは、入学後にどう成長したいかという視点です。入ることがゴールになっている文章は、本気度が薄く映ります。入学後の計画まで書くことで、長く学ぶ意欲があると示せます。
文章の正しさも当然見られています。誤字や言葉のねじれがあると、内容が良くても印象が下がります。書き上げた後に時間をおいて読み返し、できれば先生にも見てもらうと、自分では気づかない誤りを直せます。
志望理由書を書く前の準備
志望理由書は、いきなり書き始めず、材料を集めてから取りかかります。自分が興味を持ったきっかけ、これまで取り組んできたこと、その学校の特色などをメモに書き出します。材料がそろうと、文章が組み立てやすくなります。
とくに学校の特色は、思い込みでなく実際に調べた情報を使います。学校説明会や公開されている案内で確かめた特色を書くと、調べたうえで選んだことが伝わります。あいまいな印象だけで書くと、深掘りされたときに答えられません。
材料を集めたら、いきなり清書せず、まず下書きを作ります。下書きの段階では字数や言い回しを気にせず、伝えたいことを書き並べます。後から構成を整え、表現を直していくと、行き当たりばったりにならずに仕上げられます。
理由を深掘りする手順
志望理由書がありきたりになるのは、理由が浅いところで止まっているからです。最初に浮かんだ理由を出発点に、「なぜ」を重ねて掘り下げます。
最初の理由を書く。
「楽しそう」「興味がある」など率直な理由を出します。
なぜを問う。
その理由に「なぜそう思ったのか」を一度ぶつけます。
きっかけを思い出す。
そう思うようになった出来事や経験を探します。
もう一度なぜを問う。
その経験のどこに心が動いたかを言葉にします。
学校と結ぶ。
掘り下げた関心を、その学校で学べることと結びつけます。
掘り下げは、一度では浅いままで終わりがちです。「なぜ」を二回、三回と重ねるほど、自分でも気づいていなかった本当の動機にたどり着きます。途中で出た答えに、さらに「なぜそう感じたのか」を問い続けるのがこつです。
深掘りの例「楽しそう」から先へ進める
「楽しそうだから」で止まると、誰にでも書ける文章になります。たとえば「ものづくりが楽しそう」なら、「なぜ楽しそうと思ったのか」を問います。
「小さい頃から手を動かして何かを作るのが好きだった」と出れば、さらに「どんな場面で夢中になったか」を掘ります。具体的な場面まで下りると、自分だけの理由になります。掘り下げをやめない粘りが、ありきたりとの差を生みます。
掘り下げた内容は、すべて書く必要はありません。掘る作業は自分の本当の動機を見つけるためのもので、文章にはその中から伝わりやすい部分を選んで使います。深く掘ったうえで選ぶから、短い文章でも芯のある理由になります。
その学校でなければならない理由の作り方
志望理由書では、「なぜこの学校なのか」を示すことが大切です。どの学校でも当てはまる理由だけでは、選んだ根拠が弱く見えます。学校の特色ある授業、専門の設備、力を入れている活動など、その学校ならではの点を調べて結びつけます。
学校の特色は、学校説明会やパンフレット、公開されている案内などで確かめられます。気になった特色を、自分の学びたいことと一文でつなぐと、説得力が出ます。「〇〇を学びたい自分にとって、△△に力を入れているこの学校が合っている」という形でまとめると伝わりやすくなります。
ここで気をつけたいのは、特色をただ並べないことです。特色を挙げたら、それが自分の関心とどう重なるかを必ず添えます。学校の良さの説明で終わると、なぜ自分がそこを選ぶのかという肝心の部分が抜け落ちてしまいます。
入学後の計画の書き方
志望理由書の終盤には、入学後にどう取り組みたいかを書きます。入学がゴールではなく、入ってから何をするかを示すと、本気度が伝わります。挑戦したい活動や、伸ばしたい力を具体的に書くと、将来像が見えてきます。
書き方 | ありきたりな例 | 具体的な例 |
|---|---|---|
学びの計画 | しっかり勉強したい | 〇〇分野を深く学びたい |
活動の計画 | 部活をがんばりたい | 〇〇の活動で△△に挑戦したい |
将来とのつなぎ | 将来に役立てたい | 学んだ〇〇を△△に生かしたい |
入学後の計画は、実現できそうな範囲で書きます。あまりに大きな目標を並べると、現実味が薄れて言葉だけが浮きます。いまの自分から続けられそうなことを中心に、少し背伸びした目標を一つ添えるくらいがちょうどよい分量です。
計画を書くときは、入学後の学びと自分の関心をつなげます。「この学校で〇〇を学び、いま興味のある△△を深めたい」という形にすると、志望のきっかけから入学後までが一本の線でつながります。話の筋が通ると、説得力が増します。
やりがちなパターンと直し方
よくあるのが、学校をほめる言葉ばかり並べてしまうパターンです。「校風がよい」「先生が熱心」だけでは、自分との接点が見えません。学校の特色を挙げたら、その特色が自分の希望とどうつながるかを必ず添えます。主役は学校ではなく自分です。
もう一つは、立派に見せようとして自分の言葉でなくなるパターンです。背伸びした表現を並べると、面接で深く聞かれたときに答えに詰まります。等身大の言葉で、自分が本当に思ったことを書く方が、最後まで一貫した志望理由書になります。
三つめは、ほかの人の例文をまねしすぎるパターンです。形は整っても、自分の経験が入っていないと中身が空っぽになります。構成の参考にするのはよいですが、書く内容は自分の体験と関心から取り出すようにします。
四つめは、誤字や言葉のねじれをそのままにするパターンです。内容が良くても、読みにくい文章は印象を下げます。書き上げたら一晩おいて読み返し、声に出して引っかかる箇所を直すと、文章の仕上がりが整います。
五つめは、字数を埋めるために一般論を並べてしまうパターンです。誰にでも書ける話で字数を稼ぐと、自分の理由が薄まります。一般論を削り、自分の経験や関心に置きかえると、字数も内容も同時に充実します。
よくある疑問
きっかけが特別でなくても大丈夫ですか?
大丈夫です。小さな出来事でも、そこから何を感じ何を考えたかを掘り下げれば十分伝わります。
将来の夢が決まっていません。
夢が固まっていなくても、いま興味があることと、入学後に確かめたいことを書けば形になります。
字数が埋まりません。
理由を深掘りして具体的な場面を足すと、自然に字数が増えます。一般論を削り、自分の経験に置きかえます。
何度も書き直してよいですか?
推薦の文章は何度も練り直すものです。書いた後に音読し、引っかかる箇所を直すと精度が上がります。
まとめ
志望理由書は、きっかけ・学びたいこと・入学後の計画を並べ、理由を「なぜ」で掘り下げれば、自分だけの文章になります。学校の特色を自分の希望と結びつけ、入学後の取り組みまで書くと本気度が伝わります。
背伸びせず、等身大の言葉で書くことが、面接まで一貫させるうえでも役立ちます。完成後は声に出して読み、流れの悪いところを直すと、より伝わる文章に仕上がります。
