目次
15項目
電話で名指しされた人が席にいないとき、どう伝えればよいか、何を聞いておけばよいかで迷うことはありませんか。相手の会社名や折り返し先が一つ抜けるだけで、伝言を受け取った人は、確認のために電話をかけ直すことになります。
取り次ぎで押さえることは二つです。社外の相手に社内の人のことを話すときは敬称を付けないこと、そして用件を決まった項目に沿って聞き取り、復唱してから切ることです。
結論:不在は敬称なしで伝え、7項目を聞き取って復唱する
- 社外の相手に社内の人のことを話すときは敬称を付けず、「◯◯は席を外しております」「部長の◯◯」と言います。
- 不在を伝えたら戻りの予定を添え、折り返すか伝言を預かるかを相手に選んでもらいます。
- 伝言メモは7項目(宛先・日時・相手・用件・折り返し・連絡先・受けた人)に沿って聞き取ると、漏れに気づけます。
- 電話を切る前に名前・番号・用件を復唱し、メモは口頭やチャットでも名指し人に届けます。
受けてから取り次ぐまでの言い方
電話に出てから名指し人につなぐまでの、場面ごとの言い方です。「◯◯」には会社名や名前を入れます。
場面 | 言い方 |
|---|---|
電話に出る | 「お電話ありがとうございます。◯◯社◯◯部の◯◯でございます」 |
何度か鳴ってから出る | 「お待たせいたしました。◯◯社◯◯部でございます」 |
相手が名乗った | 「◯◯社の◯◯様でいらっしゃいますね。いつもお世話になっております」 |
相手が名乗らない | 「恐れ入りますが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか」 |
名指し人に取り次ぐ | 「◯◯でございますね。ただいまおつなぎいたしますので、少々お待ちください」 |
担当者の名前が出ない | 「恐れ入りますが、どのようなご用件でしょうか。担当の者におつなぎいたします」 |
聞き取れなかった | 「恐れ入ります。お電話が少し遠いようです。もう一度おっしゃっていただけますか」 |
名前の字を確かめる | 「恐れ入りますが、お名前の漢字を教えていただけますか」 |
取り次ぐときは保留にしてから、名指し人に「◯◯社の◯◯様から、◯◯の件でお電話です」と用件まで伝えます。保留が長くなりそうなときは、いったん電話に戻って相手に状況を伝えます。
「恐れ入りますが」のような前置きの選び方は、クッション言葉の一覧で場面別に確かめられます。
名指し人がいないときの言い方
不在を伝えるときは、名指し人の名前に「さん」や「部長」などを付けず、「おります」とへりくだった言い方にします。
状況 | 言い方 |
|---|---|
席を外している | 「申し訳ございません。◯◯はただいま席を外しております。◯時ごろには戻る予定です」 |
外出している | 「あいにく◯◯は外出しております。◯時に戻る予定です」 |
会議に出ている | 「◯◯はただいま会議に出ております。◯時に終わる予定です」 |
別の電話に出ている | 「◯◯はただいま別の電話に出ております」 |
休んでいる | 「あいにく◯◯は本日休みを取っております。◯日には出社する予定です」 |
折り返しを申し出る | 「よろしければ、戻りしだい◯◯からお電話するよう申し伝えます」 |
伝言を預かる | 「よろしければ、ご用件を承ります」 |
伝えるのは、不在であることと戻りの予定までです。そのうえで、折り返しと伝言のどちらがよいかを相手に尋ねます。外出先や休みの理由のように、相手に必要のない社内の事情は話しません。
伝言メモは7項目で書く
伝言メモは、受けた人がその場にいなくても、名指し人が次に何をすればよいか分かるように書きます。項目を先に決めておくと、電話をしながら聞き漏らしに気づけます。
項目 | 書くこと |
|---|---|
①宛先 | 誰への伝言か |
②日時 | 電話を受けた日付と時刻 |
③相手 | 会社名・部署名・名前。分からない字は片仮名で書く |
④用件 | 何の件で、何をしてほしいのか |
⑤折り返し | 要か不要か。要なら希望の時間帯 |
⑥連絡先 | 電話番号。名指し人が知っていそうな相手でも聞いておく |
⑦受けた人 | 自分の名前 |
記入例折り返しが必要な伝言
項目 | 記入例 |
|---|---|
宛先 | 営業部 ◯◯さん |
日時 | ◯月◯日(◯)14時20分 |
相手 | ◯◯商事 購買部 ◯◯様 |
用件 | 来月納品分の数量を変えたい。見積書を出し直す必要があるか確認したいとのこと |
折り返し | 要(本日17時までに) |
連絡先 | ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯(購買部の直通) |
受けた人 | ◯◯ |
用件は「何の件で、何をしてほしいか」まで書きます。「◯◯様からお電話がありました」だけでは、名指し人は用件を聞くために電話をかけ直すことになります。
記入例折り返しが不要な連絡
項目 | 記入例 |
|---|---|
宛先 | 総務部 ◯◯さん |
日時 | ◯月◯日(◯)10時05分 |
相手 | ◯◯ビル管理 ◯◯様 |
用件 | ◯日の設備点検の開始が、10時から13時に変わったとの連絡。変更の書面は後日届くとのこと |
折り返し | 不要 |
連絡先 | ◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯(念のため控えた番号) |
受けた人 | ◯◯ |
折り返しが要らない連絡でも、日時や数字が変わった知らせは、変更前と変更後の両方を書きます。名指し人が予定表を直すときに、どこを直せばよいかがすぐ分かります。
チャット外出中の名指し人に送る
名指し人が外出しているときは、同じ7項目を社内チャットやメールでも送っておくと、戻る前に内容を確かめてもらえます。
社内チャットで送る伝言
◯◯さん 電話の伝言です。 日時:◯月◯日(◯)◯時◯分 相手:◯◯社 ◯◯部 ◯◯様 用件:◯◯の件で、◯◯したいとのことです。 折り返し:要(◯時までに)/不要 連絡先:◯◯-◯◯◯◯-◯◯◯◯ 受けた人:◯◯
聞き取りから切るまでの5ステップ
聞き取る順番を決めておくと、慌てずに7項目を埋められます。
相手の会社名と名前を書き取る
名乗られたら、すぐにメモの「相手」の欄に書きます。聞き取れない字は片仮名で控え、あとで確かめます。
用件を「何の件で、何をしてほしいか」まで聞く
「どのようなご用件でしょうか」と尋ね、「◯◯の件で、◯◯を確認したい」の形になるまで聞き取ります。
折り返しの要否と連絡先を聞く
「念のため、お電話番号を伺ってもよろしいでしょうか」と、名指し人が番号を知っていそうな相手でも聞いておきます。
数字と名前を区切って復唱する
「復唱いたします。◯◯社の◯◯様、お電話番号は◯◯、ご用件は◯◯の件ですね」と読み上げます。
自分の名前を伝えて切る
「私、◯◯が承りました。◯◯が戻りましたら申し伝えます」と伝え、相手が切ったのを確かめてから受話器を置きます。
読み上げ数字と名前の聞き違いを防ぐ
聞き違えやすいもの | 読み上げ方 |
|---|---|
電話番号 | 「◯◯の、◯◯◯◯の、◯◯◯◯ですね」と区切りごとに読む |
1・4・7 | 4は「よん」、7は「なな」と読み、「いち」「し」「しち」との聞き違いを防ぐ |
日付 | 「◯日、◯曜日ですね」と曜日を添える |
時刻 | 「午後2時」のように午前・午後を付ける |
名前 | 字を確かめる。分からない字は片仮名で控える |
よくあるNGと言い換え
言い方の癖は、自分では気づきにくいものです。電話を切ったあとに、次の言い方をしていなかったかを振り返ります。
よくある言い方 | 言い換えと理由 |
|---|---|
「◯◯部長は席を外していらっしゃいます」 | 「部長の◯◯は席を外しております」。社外の相手には、上司でも社内の人を立てません |
「◯◯さんは今いないです」 | 「◯◯はただいま席を外しております」。「さん」を付けず、「おります」でへりくだります |
「もしもし、◯◯社です」 | 「お電話ありがとうございます。◯◯社でございます」。社名から名乗ると、相手がかけ先をすぐ確かめられます |
「了解しました。伝えておきます」 | 「承知いたしました。◯◯が戻りましたら申し伝えます」。目上の相手には「承知しました」が無難です |
「◯◯は歯医者に行っています」 | 「◯◯はただいま外出しております。◯時に戻る予定です」。行き先や私用の中身は伝えません |
「すみません、もう一回いいですか」 | 「恐れ入ります。もう一度おっしゃっていただけますか」 |
返事の言葉を選ぶときは、「了解しました」が失礼に見える理由と「承知しました」と「かしこまりました」の違いも参考になります。
なぜ社内の人に敬称を付けないのか
電話の相手から見ると、受けた人と名指し人は同じ会社の「内側」の人です。社外の相手と話すときは、上司であっても社内の人を立てず、相手を立てる言い方にします。
文化審議会の答申「敬語の指針」も、取引先の人に自社の部長のことを話す場面を取り上げています。名字だけで呼ぶか「部長の◯◯」と言う呼び方を示し、「◯◯部長」はこの場面にふさわしくないとしています。
同じ理由で、名指し人の動作には「いらっしゃる」などの尊敬語を使わず、「席を外しております」「申しております」のように言います。社内の人どうしで話すときは、ふだんどおり「◯◯部長」と呼んでかまいません。
伝言を渡したあとまでが取り次ぎ
伝言は、メモを置いたところでは終わりません。名指し人が戻ったら次のように届け、折り返しの約束が果たされるまで見届けます。
- ①名指し人が席に戻ったら、メモを渡しながら「◯◯社の◯◯様から、◯◯の件でお電話がありました」と一声かける
- ②名指し人が外出中なら、チャットやメールで同じ内容を送っておく
- ③急ぎの用件なのに名指し人と連絡がつかないときは、上司や同じ担当の人に相談する
- ④約束した折り返しの時刻が近づいても伝わっていなければ、もう一度知らせる
- ⑤同じ相手からまた電話が来たら、前の伝言が届いているかを確かめてから応対する
よくある疑問
相手が名乗らずに「◯◯さんはいますか」と言ったら。
取り次ぐ前に「恐れ入りますが、どちら様でしょうか」と尋ねます。名指し人が電話に出るかを判断できるよう、会社名と名前を先に伺います。
名指し人の携帯電話の番号を教えてほしいと言われたら。
本人の了承なしには伝えず、「こちらから◯◯に連絡を取り、折り返しお電話するよう申し伝えます」と答えます。
用件を尋ねると「本人に直接話します」と言われたら。
無理に聞き出さず、名前・連絡先・折り返しの希望時間だけを伺います。メモの用件欄には「直接お話ししたいとのこと」と書きます。
社内に同じ名字の人が複数いたら。
「◯◯は二名おりますが、部署はお分かりでしょうか」と尋ねます。部署が分からなければ、用件から担当を判断して取り次ぎます。
電話を切る前のチェックリスト
- 相手の会社名・部署・名前を控えた
- 分からない字は片仮名で控え、復唱で確かめた
- 用件を「何の件で、何をしてほしいか」まで書いた
- 折り返しの要否と希望の時間を聞いた
- 電話番号を区切って復唱した
- 社内の人に敬称を付けずに話した
- 自分の名前を伝えてから切った
まとめ
取り次ぎで迷いやすいのは、社内の人の呼び方と、何を聞き取るかの二点です。社外の相手には社内の人を立てずに不在を伝え、用件は7項目に沿って聞き取り、復唱してから切ります。
次に電話を受ける前に、7項目の枠を書いたメモ用紙を電話の横に置いておきましょう。項目が目に入ると、聞き忘れに電話中に気づきやすくなります。
